【ソウル時事】来年3月の韓国大統領選の革新系与党「共に民主党」候補、李在明前京畿道知事陣営の平和外交安保特別委員長を務める外交ブレーン、金峻亨・前国立外交院長がインタビューに応じ、「日本に賠償や謝罪を求めず、金銭的問題は韓国政府が責任を持つと宣言すべきだ」と強調した。

対中念頭、日本と「経済安保」協力 最大野党尹氏陣営―韓国大統領選

 金氏は文在寅政権発足時にこうした提言をしたが、当時は2015年慰安婦合意への世論の反発が大きく、受け入れられなかったと説明。「文政権が今こうした対応をすれば国民に『屈服』と映るが、新たに発足する政権ならできる」と指摘した。懸案の元徴用工問題についても「韓国が全て責任を持つという原則を立てれば、(解決)方法はいろいろある。日本に前提条件として謝罪せよというのはやめるべきだ」と主張した。

 李氏は「信頼できる友好国なのか」と述べるなど日本への警戒心を隠さず、対日強硬派とみられているが、金氏は、選挙戦では反日世論を考慮せざるを得ない側面があると説明。「政権を取ればはるかに実用的に動ける」と指摘し、李氏も妥協の可能性を念頭に置いているようだと語った。

 金氏は、米中対立が激化しているが「日本も『新冷戦』を望んでいない。中国が今よりさらに好戦的に出てくるときに、緩衝剤の役割を果たせるのが韓日協力だ」と述べた。

 金氏は「北朝鮮問題に埋没しすぎてはいけない」と述べ、目指すべき外交は「多様化」だと指摘。対米関係を基軸に置いた上で、中国との関係も損なわず、「東南アジア諸国連合(ASEAN)やインド、欧州連合(EU)との連携といったプランBも必要ではないか」と強調した。