きょうは御用納め。在宅勤務が多い昨今、仕事納めと言ってもピンとこない人が多いだろう。異常気象で季節感が乏しくなると同時に祝日や休日、勤務時間といった仕事にまつわるメリハリも効かなくなってきた。コロナによるパンデミックがこれに拍車をかける。在宅勤務が多くなったサラリーマンは、朝起きて家を出る習慣がなくなった。家の中でも仕事と家庭サービスが混在し、どこまでが仕事でどこまでが家庭サービスか曖昧になる。仕事しながら育児に励む、そんな光景をパンデミックが生み出した。近所のゴルフ練習場はウィークデーでも超満員の日が多くなった。運動不足解消の一環として在宅勤務者が、“隙間時間”を使って練習場に訪れるようになったとか。週末ゴルフはウィークデーに移動した。家の近くを散歩すれば、あちらこちらで戸建住宅の新築現場を見かける。在宅勤務の日常化で都心から近郊へ引っ越す人が増えているのだろう。

コロナウイルスもデルタ株からオミクロン株へ急激に置き換わってきた。けさのニュースも大半がオミクロン株。感染が急拡大するイタリアでは専門家が「隔離期間の短縮を要請した」とある。濃厚接触者の場合ワクチン接種済みなら7日間、未接種なら10日間の自主隔離が義務付けられる。このままだと近いうちに自主隔離者が1000万人をこえる見通しだという。「(自主隔離は)現実的には無理」と専門家は判断しているようだ。米国では検査キッドが不足しており、バイデン大統領は防衛生産法を適用して強制生産を指示するという。米国はすでに戦時体制に入っている。豪州では公共施設でのQRコードの登録やマスクの着用が義務付けられた。民間企業も対応に追われている。アップルがニューヨーク市内にある店舗の営業を禁止した。週末には2800便のフライトがキャンセルされた。感染拡大で乗務員の確保が難しくなっているというのだ。航空会社には再び暗雲が忍び寄る。

パンデミックは年末や年始に恒例となっているイベントも中止に追い込む。WHOのテドロス事務局長は先ごろ、クリスマスや年末年始のイベントの中止を求めた。「イベントのキャンセルは命のキャンセルより良い。今は中止にして後に祝う方が今、祝って後に悲しむよりは良い」と記者会見で述べている。その通りだろう。この年末年始、世界中のイベント会場から人々の姿は消えるだろう。誰もが「後で悲しみたくはない」と思っている。オミクロン株に乗り換えてパンデミックは新しい年に持ち越される。コロナ禍はすでに2年が経過した。これまで人類はパンデミック対策としての「行動変容」を求められてきた。それでも続くパンデミック。これからは「行動変容」プラス「意識変容」が求められるのではないか。「三密回避」が行動変容から意識変容に置き換わった時、社会や政治や経済にどのような変化が及ぶのだろう。新しい年の注目点かもしれない。