北海道では11日から大雪となり、停電や事故など交通への影響が相次ぎました。14日にかけて日本海側の広い範囲で平地でも短時間に大雪となるおそれがあります。この冬たびたび登場する「JPCZ」=「日本海寒帯気団収束帯」の影響です。今回の大雪、どのような点に注意しておけばよいのかまとめました。
「JPCZ」=「日本海寒帯気団収束帯」とは
大雪の時「強い寒気と冬型の気圧配置の影響で…」とよく説明されますが、北から強い寒気が南下すると朝鮮半島でいったん東西にわかれます。ペクトゥ山などの高い山があるためです。そしてその後、日本海側に近づいた時に再び合流します。
これを「JPCZ」=(Japan sea Polar air mass Convergence Zone)日本海寒帯気団収束帯と呼びます。
発達した雲は筋状になり、長さは1000キロ程度に達します。日本海の海水温は比較的高いため、大量の水蒸気が供給され、雪雲が特に発達します。
大雪になりやすい日本海側の山沿いだけでなく平地でも積雪が増えるほか雲が次々と流れ込むため、東海など太平洋側でも大雪になることがあります。
「着雪」による停電のおそれ 就寝前に備えを
気象庁によりますと、13日夕方から14日夕方までの24時間に予想される雪の量が山沿いで80センチという地域も。北陸や新潟県、近畿では平地でも40センチ前後降ると予想されています。
積雪の急増で懸念されるのが停電です。短時間で多くの雪が降ると電線や樹木に雪が積もる「着雪」が起き、電線が切断されるおそれがあります。
停電に備えて枕元などに懐中電灯やランタンを用意するほか、スマートフォンや携帯ラジオなどをあらかじめ充電しておくと情報収集にも役立つので安心です。
電気を使わない暖房器具の準備や燃料の備蓄の確認なども寝る前に済ませておくと、もしもの時にスムーズです。
「乾いた雪」の影響は 転落事故の可能性も
雪の特性にも注意が必要です。
防災科学技術研究所雪氷防災研究センターの上石勲センター長によりますと、13日までは北海道を中心に「湿った雪」が降りましたが、日本海側で降り積もる雪は「乾いた雪」になるということです。
あたり一面が雪に覆われ高く積み上がるため、例えば水路の場所などが分かりづらくなり、転落事故につながる可能性もあるということです。
大雪が予想されている時間帯は外出は控えることが重要で、その必要があるときは歩き慣れている道でもルートに水路が無いかを改めて確認して慎重に歩くことが大切です。
また、乾いた雪は地吹雪となって視界を悪くするおそれもあります。
車であってもできるだけ外出は控え、やむをえず車を運転する場合はライトを必ず点灯し、アクセルやブレーキ、ハンドルなどの操作をゆっくり行うようにしてください。
除雪作業中の事故対策も重要 作業は2人以上で
また、上石センター長は「被害を減らすためにも除雪作業中の事故を防ぐことが非常に重要だ」と強調しています。
総務省消防庁のまとめでは「除雪作業中の事故」で昨シーズンだけでも95人が死亡し、このうち8割以上が65歳以上の高齢者でした。
特に多いのが屋根からの転落だということで、雪下ろしの際には、必ず2人以上で作業し、携帯電話を身につけ、はしごの足元をしっかりと固定して作業してほしいということです。
そのうえで、屋根に積もった雪が落ちて巻き込まれないように軒下になるべく近づかないようにし、万が一屋根から転落したときのためにヘルメットと命綱を着用するほか、落ちたときの衝撃を減らすため建物の周りに雪を残すとよいそうです。
雪崩にも注意 ハザードマップで確認を
日本海側では各地で平年を上回る積雪になっています。短時間で大量の雪が降るおそれのある山沿いの地域では雪崩にも注意が必要です。
特に雪崩の危険性が高いのは「高い樹木の無い急斜面」です。
「雪崩危険か所マップ」として自治体のホームページやハザードマップで確認することもできます。