【ワシントン時事】岸田文雄首相とバイデン米大統領は21日、国際経済秩序に挑戦する中国の脅威に備える経済安全保障の観点から、外務・経済担当閣僚による「日米経済政策協議委員会」(経済版2プラス2)の新設で合意した。バイデン氏が中国への対抗策として提唱する「インド太平洋の新たな経済枠組み」構想の実現に向けて戦略を練る場にも位置付けられ、アジア経済連携をめぐる中国との主導権争いが一段と激化しそうだ。

 バイデン政権は日米豪印4カ国の枠組み「クアッド」や先進7カ国(G7)の結束を強めて対中包囲網の形成を進めており、日米経済版2プラス2もその一環となる。

 昨年4月に日米首脳が合意した「日米競争力・強靱(きょうじん)性パートナーシップ」に基づき、協力分野として「サプライチェーン(供給網)、技術への投資や基準策定」(米政府高官)が候補に上がる。半導体や人工知能(AI)の対中競争に備えるためだ。

 経済版2プラス2は、クアッドや新経済枠組み構想を含めたインド太平洋の経済安保戦略についても話し合う。首脳会談の席上、バイデン氏が「アジアで米国の指導力を強める」と宣言すると、岸田氏は「構想への支持を広める」と応じた。

 バイデン政権は、今年前半に新経済枠組みの具体化に着手する方針で、クアッドをモデルにした「民主主義連合」(レモンド米商務長官)を目指している。中国は米国が離脱した環太平洋連携協定(TPP)への加入を申請済みで、後れを取る米国は日本と共に足場固めを急ぐ。

 今年のクアッド首脳会議は日本が主催する予定で、米国家安全保障会議(NSC)のキャンベル・インド太平洋調整官は「アジア経済連携における日本の役割は重要だ」と期待を示している。