[ニューヨーク 1日 ロイター] – ニューヨーク外為市場ではドルが下落した。米経済指標が軟調だったことに加え、連邦準備理事会(FRB)当局者が相次いで積極的な利上げに慎重な見解を示したことが重しになった。

ドルが軟調になる中、豪ドル、ユーロ、英ポンドなどリスク動向に敏感に反応しやすい通貨が上昇した。

前日は一連のFRB当局者が3月に利上げする構えを明確に表明。ただ利上げ後の道筋について慎重な言い回しに終始した。

この日はフィラデルフィア地区連銀のハーカー総裁が今年4回の利上げを実施することが適切と表明。ただ、3月に50ベーシスポイント(bp)の利上げを実施することを支持するかとの質問に対しては、「インフレ率が現在の水準より上昇せず、継続的に低下すれば、50bpの利上げは必要ない」と答えた。

このほかセントルイス地区連銀のブラード総裁は、3月の連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げを決定し、5月に追加利上げを実施することに支持を示しながらも、50bpの利上げで引き締めサイクルを開始することには否定的な見解を示した。

ナベリエ・アンド・アソシエーツの最高投資責任者(CIO)、ルイス・ナベリエ氏は、FRBに株価下落に対応して金融を緩和したり、利上げを遅延させたりする傾向があることに言及し、一連の当局者発言でこうした傾向がまだ続いていることが思い起こされたとしている。

FRBが積極的な利上げ観測にブレーキをかける中、世界の他の中央銀行は利上げを実施、または利上げに動く意向を示している。

この日発表の米経済指標では、米供給管理協会(ISM)の1月の製造業景気指数が57.6と前月の58.8から低下し、2020年11月以来1年2カ月ぶりの低水準となった。

商務省発表の2021年12月の建設支出(季節調整済み)は年率換算で前月比0.2%増加したものの、公共部門の減少で民間部門の堅調な伸びの一部が相殺され、予想の0.6%に届かなかった。

終盤の取引で主要6通貨に対するドル指数は0.3%安の96.432。先週は1年7カ月ぶりの高水準を付けていた。

ユーロは0.1%高の1.1244ドル。ドルは対円で0.6%安。

豪ドルは0.6%高の0.7114米ドル。オーストラリア準備銀行(中央銀行、RBA)はこの日、予想通り政策金利のオフィシャルキャッシュレートを過去最低の0.10%に据え置き、債券買い入れの終了を決定した。一方、市場の早期利上げ観測はけん制した。

英ポンドは0.5%高の1.3517ドル。

ドル/円 NY午後4時 114.68/114.71

始値 114.62

高値 114.89

安値 114.58

ユーロ/ドル NY午後4時 1.1267/1.1271

始値 1.1272

高値 1.1274

安値 1.1235