[上海 23日 ロイター] – 上海外国為替市場で人民元は対ドルで約4年ぶり高値で通常取引を終えた。ウクライナ情勢が緊迫化する中、海外勢の買いが膨らんだ。

元は午前は落ち着いた動きだったが、午後に入ると上昇、通常取引終値は1ドル=6.3178元と2018年4月以来の高値となった。オフショア元も約4年ぶり高値に上昇した。

ある外銀トレーダーは「外国投資家はかなり前から中国国債を買っている。(地政学的)状況が緊迫化するに連れて元が上昇している」と述べた。

海外勢の元需要の急拡大を反映するのがオフショア元だ。1月はほぼ連日、オンショア元よりも元安水準で推移していたが、ここ1週間は上回り、その差は22日に約4カ月ぶりの大きさになった。

中国国際金融(CICC)はリポートで、中国は貿易面でロシアへのエクスポージャーが比較的小さいため、ウクライナを巡る緊張が中国経済に及ぼす影響は限定的と指摘。長期的には西側の制裁を受け、ロシアが人民元保有高を増やす可能性があるとした。

21年のロシアの外貨準備の構成は、元が13.1%と17年の0.1%から上昇。米ドルは46.3%から16.4%に低下した。

ロシアは昨年6月、政府系ファンドの米ドル資産保有を調整し、ユーロや元、金の比率を高める方針を示した。

プリンシパル・グローバル・インベスターズのアジア債券責任者は、西側の制裁がロシアを「人民元のような代替通貨ブロック」に向かわせる可能性があると述べた。ただし、中国国内経済が軟調なことから、人民銀行(中央銀行)が元の大幅な上昇を容認する可能性は低いと指摘した。