ヘインズ米国家情報長官は10日、ウクライナが生物兵器や核兵器を開発しているとのロシアの主張を否定するとともに、そうした主張は恐らく、同国がウクライナ侵攻で講じるかもしれない動きをごまかすための作り話だとの見解を示した。

  ヘインズ長官は上院情報特別委員会の年次公聴会で「ウクライナが生物兵器ないし核兵器の保有を目指しているとはわれわれは判断していない」と証言した。

ヘインズ米国家情報長官が公聴会で証言Source: Bloomberg

  ウクライナが生物兵器や化学兵器、核兵器の保有や使用に向けて動いているとのロシア側の主張についてヘインズ長官は、プーチン大統領が講じかねない危険な措置のための「偽旗」話を流す「古典的な」動きだと指摘した。

  同長官をはじめとする複数の当局者はウクライナについて、多くの国々と同様、複数のバイオ研究所を持つが、それらは感染症のパンデミック(世界的大流行)や攻撃への防御が目的であって生物兵器の研究所とは異なると説明した。

  ホワイトハウスのサキ報道官は公聴会後に記者団に対し、ロシアは「そうした能力を保有するだけでなく化学兵器と生物兵器を使用した経緯がある」と述べた。ジョンソン英首相もロシアがこうした武器を使用することを自分は恐れているとし、「彼らはうその話を準備している」と語った。

  米中央情報局(CIA)のバーンズ長官も今回の公聴会で、より幅広く見れば、米国と同盟国がロシア側の主張に素早く反論する取り組みは、プーチン大統領の戦術や意図を狂わせる上で「かなりの効果」を上げていると証言。「これはプーチン大統領が敗北すると考えられる一つの情報戦だ」と話した。

  バーンズ長官はまた、プーチン大統領が命じたウクライナ攻撃は世界経済を不安定化させ、米国と欧州の同盟国との間に亀裂を生じさせるのを困難にし、習近平総書記(国家主席)を含む中国共産党指導部を「動揺」させているとの分析を示した。

原題:U.S. Spy Chiefs Reject Russia’s Claims of Ukraine Bioweapons (2)(抜粋)