マウリポリの惨状は文字通り“心胆寒からしめる”状況だ。ロシア軍によって爆撃され、焼け爛れたビルの無惨な姿を見るたびに心が痛む。電気も水道も止まっているという。食糧も薬もない。悲惨な日々が続いている。そんな中で昨日は寒の戻りというのだろうか、みぞれ混じりの雨が降り続き底冷えのする寒さだった。日本では「電力需給逼迫警報」が発令された。東電館内で一時的に200万〜300万世帯が停電する可能性があると、ニュースは伝えている。東日本大震災時のローテーション停電を思い出した。停電世帯は東電が人為的に決めるのだろうか、寒々しい疑念が頭を駆け巡る。「停電がどの世帯で発生するか事前にはわかりません」、アナウンサーのひと言で不見識な“疑い”は解消した。と、いうわけで、ささやかながら節電に協力する。おかげで体が冷えてトイレに行く回数が増えた。平和な日本で電力のありがたみを実感する。

我が家はキッチンと風呂場、床暖房以外は全て電力で賄っている。ストーブも電気ストーブだ。灯油は一切使っていない。停電した途端に暖を取る手段がなくなってします。床暖は都市ガスを使っているが、スイッチを入れるのは電気。電気がなければ生活そのものが立ち行かなくなる。それくらい電気に対する依存度が高い。我が家だけではないだろう。東日本大震災は電気の大切さを思い起こさせた。電力需給警報もこれを契機に制度が整えられた。非常時には中部や関西電力などから東電に電気が融通される。だがこのシステムもうまく機能しなかったようだ。東電・東北の両電力管内はギリギリの状況が続いた。政府による節電の呼びかけでなんとか急場を凌いだだが、問題が根本的に解決したわけではない。地震が起これば同じことは何度も起きる。

電力の安定供給。いうのは簡単だが、実現するのは並大抵ではない。東日本大震災以来、大半の原発は稼働を停止している。プーチンのウクライナ侵攻でガソリン価格をはじめ天然ガスの価格も急騰している。安定供給には当然コストも関わってくる。今回の地震では頼みの火力発電所が休止に追い込まれている。安全な火力も稼働が停止すれば役に立たなくなる。脱炭素に向けて火力発電の停止を求める圧力が強まっている。EUは原発開発に“お墨付き”を与えた。野党・国民民主党の玉木代表は電力の需給逼迫に関連して、「原発のあり方についても夏の参議院選挙の大きなテーマにして国民に問うべき課題だ」と発言した。事態は動いている。今日の夕方、ゼレンスキー大統領の国会演説が予定されている。「前例がない」との発言が波紋を広げる国である。議論は盛り上がるだろうか・・・。