米資産家で起業家のイーロン・マスク氏は週末に、「テンダー」という言葉を使った謎めいたツイートを発して投資家をぼうぜんとさせた。ツイッターの支配権取得に向け同社株主に対し「テンダーオファー(株式公開買い付け)」を行う可能性に言及したものとも考えられる。

  世界一の資産家であるマスク氏は先週、ツイッターを1株54.20ドルで買収する総額430億ドル(約5兆4400億円)の案を提示。それを受けてツイッターはマスク氏などの投資家による株式の追加取得を難しくする「ポイズンピル(毒薬条項)」の導入を決めた。

  ツイッターの取締役が最終的にマスク氏の提案を拒否すれば、同氏が本当に株主に直接アピールすることも辞さない構えを見せたのか、単に1956年のエルビス・プレスリーのヒット曲「ラブ・ミー・テンダー」をプレイリストに追加しただけだったのかを知ることができる。

  ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)のアナリストであるマンディープ・シン、アシュリー・キム両氏は15日、ツイッター取締役のラリー・エリソン氏が最高経営責任者(CEO)を務めるオラクルやプライベート・エクイティー(PE、未公開株)投資会社などとマスク氏が手を組む可能性があると予想。そうしたパートナーシップが実現すれば買収提案は500億ドルに引き上げられる可能性があると論じた。

  一方、ツイッター創業者ジャック・ドーシー氏は週末、同社がずっと「機能不全」状態にあると投稿し、自社幹部を批判する異例の行動を取った。

  ツイッターを巡る攻防でウォール街の金融機関も支援に動いている。ツイッターはゴールドマン・サックス・グループとJPモルガン・チェースをアドバイザーに起用。モルガン・スタンレーはマスク氏側の助言役を務めている。

原題:Elon Musk’s Cryptic Tweet Channeling Elvis Baffles Investors(抜粋)