鈴木俊一財務相は19日の参院財政金融委員会で、「円安が急速に進んでいる」とした上で、経済状況を考えると「デメリットをもたらす面が強い」との見解を明らかにした。円安進行に伴い、直前の閣議後会見と比較しても警戒感を強めた。

  鈴木財務相は財金委で、原油など原材料価格が高騰する中での円安の進展は「輸入物価の一段の上昇につながり、消費者や価格転嫁が十分にできない企業にとってデメリットをもたらす面がある、強いと思っている」と指摘した。

  財金委の発言では「急速に進んでいる」「デメリット」といった表現が加わった。閣議後会見では「為替市場の動向や経済に対する影響を緊張感を持って注視している」と従来の発言を繰り返すにとどめていた。

  東京外国為替市場のドル・円相場は早朝から上昇基調を強めて約20年ぶり高値を連日で更新し、1ドル=128円台となった。鈴木財務相の発言にもかかわらず、相場はドル買い・円売りで反応した。

  日本総研の河村小百合主席研究員はセミナーで、欧米主要国が財政再建や金融政策正常化に着手する中、日本は議論すらしていないと指摘。正常化時の財務悪化懸念にもかかわらず長期金利を押さえ込む日銀の姿勢に対しての「海外の冷ややかな目線が円相場に表れている」と述べた。

  SMBC日興証券の丸山義正チーフマーケットエコノミストはリポートで「円安進行の主因は日本ではなく米国」と分析。「米国のアグレッシブな金融政策運営が一段落するまでドル高円安は継続する可能性が高い」との見方を示した。