[キーウ(キエフ)/スラビャンスク(ウクライナ) 24日 ロイター] – ロシア軍は24日、ウクライナ東部2都市の包囲に向けて総攻撃を仕掛けた。ロシアが戦力を集中させるドンバスでの作戦の成否を左右する可能性がある。

ロシアはドンバス地方で親ロ派が権利を主張するドネツク州とルハンスク州を掌握し、ウクライナ軍を東部戦線の限られた地域に封じ込めようとしている。

ドネツク州のキリレンコ知事は、スビトロダルスクを含む3つの町がロシア軍に制圧されたと、ラジオ・フリー・ヨーロッパ/ラジオ・リバティー系列の放送局に語った。

ウクライナ国防省のモツヤニク報道官は「ロシアのウクライナに対する全面侵攻は現在、最も活発な段階に入っている」とし「東部戦線の状況は極めて困難だ。ウクライナの運命は、今まさに東部戦線で決定されようとしている」と述べた。

ドンバスのウクライナ支配地域の最も東にあり、シベルスキー・ドネツ川の東岸に位置する都市セベロドネツクと、西岸のリシチャンスクが重要な戦場になっており、ロシア軍は包囲に向けて3方向から進軍している。

ルハンスク州のガイダイ知事は、セベロドネツクとリシチャンスクはウクライナが依然支配している最後の領域の一部だとし、ロシア軍が両都市の包囲に向けた攻勢に力を注いでいると述べた。

こうした中、ロシア政府高官は24日、同国が戦闘の長期化を見込んでいることを示唆した。

ショイグ国防相は、ロシアは民間人を避難させるためにウクライナでの攻撃を意図的に遅らせていると発言。プーチン大統領の側近であるパトルシェフ安全保障会議書記は、ロシア政府が「期限」に追われているわけではないとの認識を示した。

スイスで開かれている世界経済フォーラム(WEF)の年次総会(ダボス会議)では、欧州委員会のフォンデアライエン委員長が、ロシアはエネルギー供給と同様に食料供給を「武器」として利用していると非難。

「ロシア軍はウクライナで穀物や機械を没収しているほか、黒海ではロシアの艦船が小麦やヒマワリの種を積んだウクライナ船の航行を阻んでいる」と述べた。

また、著名投資家ジョージ・ソロス氏は同会議で、ロシアのウクライナ侵攻は第3次世界大戦の始まりかもしれないとの認識を示した。その上で「われわれの文明を維持するための最善かつおそらく唯一の方法は、可能な限り早くプーチン氏を打ち負かすことだ」と語った。

一方、米財務省は、ロシアのドル建て国債の利払い受け取りを認める特例措置を延長しないと発表した。ロシアがデフォルト(債務不履行)に近づいたことを意味する。

この措置は、米国人とロシア政府や政府機関との取引を米政府が例外的に認めたもので、米東部時間25日午前0時01分(0401GMT)に失効する。