ウクライナ戦争にコロナの感染拡大、物価が猛烈な勢いで上昇し、安倍銃撃事件では国内の警備体制に不備があることが発覚した。そこに予想を超えた集中豪雨が重なり、右を向いても左を見てもこの世界気になること、心配になることばかりだ。地球温暖化の影響で氷河が溶けて雪崩を引き起こす事例が世界中で報告されている。心配のタネは切りがない。今朝のニュースには中国で不動産抗議デモが多発しているという。G7の財務省・中央銀行総裁会議に出席しているイエレンベイ財務長官は、ロシアへの牽制と同時に低所得国の債務再編問題に参加しない中国を激しく非難した。不良債権の統計すら公表しない中国、低所得国の債務問題に口を挟む余裕すらないのかもしれない。その中国で住宅ローンを抱えた市民が抗議のデモを始めたという。ゼロコロナで国の経済は停滞している。不良債権という不発弾が爆発しないか心配になる。

まず、ロイターが今朝配信した記事を見てみよう。タイトルは「中国の不動産抗議デモ、住宅ローン2200億ドル不良化の懸念」とある。「中国では、マンションが完成しないことに抗議してローン返済停止をちらつかせる住宅購入者が増加。住宅融資の不良債権化が懸念されている」という。「マンションが完成しないことに抗議する」こと自体が日本では考えられないが、記事によれば「最大1兆5000億元(2200億ドル)の住宅ローンが中国の未完成住宅プロジェクトに関連している」という。中国ではマンションが完成しないうちからローンの支払いが始まるのだろうか。いずれにしても「購入者の抗議が起きた開発プロジェクトは今週初めに20件足らずだったが週半ばには100件に拡大。大都市の一部プロジェクトも影響を受けており、週末には200件に達するとの予想もある」、というから事態は想像以上に深刻のようだ。

中国の金融機関は住宅ローンの比率が高い。この支払いが停止すれば銀行が持っているローン債権は紙屑になる。「銀行は先行販売されたマンションを担保として所有しているが、その資産は未完成であるため、(なんらかの)損失を被る可能性が高い」という。完成を待っても「不動産価値の大幅な下落リスクにさらされる」。不動産アナリストは「現在の市況でマンションを売るのは難しい。住宅競売の大波が来れば、価格は暴落するだろう。最悪の場合、社会の安定と金融の安定の両方が危うくなる」とコメントしている。秋には習近平主席が3期目を目指す党大会が予定されている。不動産が暴落すれば党大会どころではないかもしれない。中国の不動産をめぐる実態は黒いベールに包まれている。それだけに不良債権をめぐる懸念は、世界中に“疑念”を撒き散らすことになる。心配の種は膨らむばかりだ。