A collection of U.S. one dollar bills sit on top of a U.S. five dollar bill in this arranged photograph in London, U.K., on Friday, Jan. 29, 2016. The International Monetary Fund extolled the potential benefits of virtual currencies and said they warrant a more nuanced regulatory approach, at a time when the future of bitcoin, the most well-known example, is in doubt’s. Bitcoin traded at about $379 on Jan. 20, about a third of its peak in 2013. Photographer: Chris Ratcliffe/Bloomberg

ドル相場が円とユーロに対し数十年ぶりの高値まで今月上昇したことに対し、米財務省や連邦準備制度が暗黙の承認を与えたと受け止められてもおかしくない。ドル高を公にけん制する発言はほとんどなく、過去の状況と比べると注目すべき変化に見える。

  ドルが対円で1998年以来、対ユーロで2002年以来の高値に達したにもかかわらず、イエレン財務長官とパウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長を含む主要な政策担当者は、議会の公聴会でドル高にほとんど言及していない。

  過去のドル高局面は、2013年の超党派による「為替相場監視改革法案」提出や時の政権からの不満表明を促した。トランプ前大統領が、ドル安方向に為替相場を動かすと期待される利下げを連邦準備制度に催促したことは周知の通りだ。

  だが、米国のインフレ率が約40年ぶりのペースに加速した今回は事情が異なる。為替レートの上昇が消費者物価の抑制に役立つ効果は限られるとエコノミストは考えているが、政策担当者は強いドルをおおむね支持している。米経済が方向転換するまで、それが続く可能性がある。

  大統領経済諮問委員会(CEA)のジャレッド・バーンスタイン委員は18日のブルームバーグテレビジョンの番組で、「それは確かにわれわれが大統領と話している話題だ。彼のドルへの関心は非常に高い。インフレ圧力が心配なら、より強いドルは輸入物価を安く抑える効果がある」と語った。

  ブルームバーグ・エコノミクスのチーフ米国エコノミスト、アンナ・ウォン氏は「過去1年のドル相場の値上がりが、連邦準備制度による利上げの必要性を減らすだろうか。結局のところ、そうでもない。連邦準備制度が直面するインフレの問題の大きさと比べれば、ディスインフレ効果はあまりに小さい」と指摘した。

原題:Strong Dollar Is Embraced by Washington Again, as Inflation Aid(抜粋)