旧統一教会と所属議員の接点に関する点検結果を公表後、厳しい表情で記者の質問を受ける自民党の茂木敏充幹事長=8日午後、東京・永田町の同党本部
旧統一教会と所属議員の接点に関する点検結果を公表後、厳しい表情で記者の質問を受ける自民党の茂木敏充幹事長=8日午後、東京・永田町の同党本部

 自民党が8日、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と党所属国会議員の関係をめぐる「点検」結果を公表した。ただ、自己申告に基づく内容には、党内からも「十分とは言えない」(中堅議員)との声が上がる。議員名をどこまで公表するかで岸田文雄首相と茂木敏充幹事長らがぎりぎりまで対立。「見切り発車」の感は否めず、同党がもくろむ幕引きには程遠い。

旧統一教会および関連団体との接点・関係 自民

 「結果を重く受け止めている。率直に反省し、今後は一切関係を持たないことを党内に徹底する」。茂木氏は8日夕の記者会見で、教団と接点のあった議員は179人と公表。関係を断ち切れなければ離党勧告も辞さない姿勢を改めて示した。

 同党が当初想定していた公表日は6日。党幹部は、ずれ込んだ理由を「報告に曖昧な記述があり、再提出を求める必要が出てきた」としたが、それだけではない。関係者は「議員名を全て公にするかで党首脳部の意見がまとまらなかったことも大きい」と証言する。

 それによると、首相は教団との接点が判明した179人全員の議員名を公表する一方、会合出席など関わり方ごとの内訳は議員数のみにとどめる案を唱えた。だが、茂木氏らは、議員名の公表は関わり方の深かった数十人程度にとどめるべきだと訴えて譲らなかった。

 首相は「一部でも議員名を伏せれば、国民の理解を得られない」と懸念。しかし、議員名を全面公開すれば、新たな名前が浮上した場合に対応に苦慮しかねないとの不安もあった。

 首相は6日から7日にかけて、茂木氏を中心に党役員の人数を絞ったり増やしたりしながら3回にわたって協議。ようやくまとまったのが121人の名前を公表する「折衷案」だった。

 もっとも、これには早くも党内から「残る約60人は誰だと追及されるのは間違いない」(中堅)との声が漏れる。閣僚経験者は「最初に小さく見せようとした安倍晋三元首相の国葬経費と同じ。最終的に全議員名を公表せざるを得なくなるのではないか」と予想した。

 意見集約に手間取ったことを反映してか、氏名が公表された議員数は混乱した。茂木氏が会見で「110人」と説明した直後、事務方が「111人」と修正し、会見後に「121人」と訂正発表するドタバタぶりだった。

 調査について、茂木氏は他党より緻密と誇るが、実際は各議員の自己申告の取りまとめにすぎない。教団関連の会合に出席した細田博之衆院議長らは会派離脱中との理由で対象に含めず、関わりが深かったとされる安倍氏も、地方議員も調査の対象外だ。

 立憲民主党の安住淳国対委員長は記者団に、自民党の発表が安倍氏の国葬に関する国会質疑の直後に設定されたことに触れ、「ニュースを山盛りにして小さく扱ってもらおうという、せこいやり方だ」と批判。「強制力を伴う調査ではなく、信頼性はない。細田議長を含め、きちんと調べて出すのが筋だ」と酷評した。