今朝のNHKサイトに面白い記事が載っていた。経済部記者・加藤ニール氏の署名記事、「最近日銀内部で話題のノルムって?【経済コラム】」がそれ。最初に「ノルム」とは何か、同記事から引用する。「過去の経験で培われた規範、社会に根づいた考え方のことを『ノルム』と言います」とある。ウキペディアでノルムと検索すると、「解析学において、ノルム (英: norm, 独: Norm) は、平面あるいは空間における幾何学的ベクトルの “長さ” の概念の一般化であり、ベクトル空間に対して「距離」を与えるための数学の道具である」と出てくる。なんだ、こりゃ!◎△$♪×¥●&%#?!理解不能。別の辞書で「ノルム、経済用語」で検索、すると「ノルム、規範。規準。法則」と出てくる。これでようやく一安心。要するにこの記事に出てくるノルムを規範と呼んでいる意味が理解できた。

個人的なノルムは自由を愛し、民主主義を守るべきだと考えていることか。これは私個人が培ってきた独自の考え方ではなく、生まれてこの方に日本という社会に根付いてきた規範ということだろう。戦前に生まれていれば軍国主義が個人的なノルムになったのかもしれない。社会全体が一つの考え方を共有していればこそ、自由も民主主義もノルムとして国民の間に根付くということだ。本題から逸れた。問題は物価のノルムである。日銀は2%の物価目標を設定してこの10年近く異次元緩和を実施してきた。それがいまだに実現していない。なぜ物価は上がらないのか?記事によると日銀はその理由は2つあると考えていると指摘する。1つは「黒田総裁が指摘するように賃金の上昇を伴わないコストプッシュ型の物価上昇だから」、もう一つは「人々の物価観が変わらないこと」だとある。2番目の「物価感」、これが日本人に根付いたノルムというわけだ。

ノルムは変わるのか。日本の物価研究の第一人者、東大の渡辺努教授によると、「いまの日本の物価上昇は、慢性デフレと急性インフレが同居した状態にある」と解説する。ノルムとしての慢性デフレの中に、新型コロナやプーチンの仕掛けたウクライ戦争に伴う急性インフレが重なって、値段が上昇する物品と上昇しない物品が混在しているのだという。渡辺教授は「欧米は幅広い商品やサービスが値上がりする急性インフレが深刻で中央銀行が利上げで対応している。一方で日本は海外からもたらされた急性インフレと、従来からの慢性デフレが同居している。日本では原材料費の上昇を転嫁する動きはあるが、欧米のように賃金上昇を転嫁する動きは見られず、人件費の割合が高いサービス関連を中心に価格は据え置かれたままだ」と指摘する。だからどうする?個人的には物価に付随するノルムを破壊すべきだと思う。手始めにやること、それは賃金を上げることだ・・・。