アンスティー・クリストファー

  • 今週ワシントンで開かれた一連の国際会議には「失望」
  • 途上国の債務問題を軽視する富裕国、アジア危機を想起
Lawrence “Larry” Summers, former U.S. Treasury secretary Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

サマーズ元米財務長官は14日、英国で最近起きた混乱の後も金融のトラブルは続くとの見方を示した。債券市場から閉め出されようとしている一部新興国の問題に、ワシントンに集まった世界の財務相と中央銀行総裁らは何ら対応していないとも批判した。

  サマーズ氏はブルームバーグテレビジョンで、「火災が起きているのに、まだ消防士はほとんど出動していない」と語った。

  同氏は今週ワシントンで開かれた一連の国際会議に「失望した」とし、「多くの国が今では債券を発行することさえできない事実に、まったく行動していないようだ」と批判した。

  ケニア中銀のニョロゲ総裁は訪問先のワシントンで13日、富裕国による利上げサイクルによって一部の途上国は「資本市場から締め出される」ことになると警告した。

  こうした状況は1990年代後期、アジアの金融危機に際して10億ドル(約1500億円)の支援を渋った米国を思い出させると、サマーズ氏は語る。同氏は当時、米財務省高官としてこの決定に関与したことを認めながら、こうした姿勢が最終的に米政府に対する失望の種をアジア地域にまいたと指摘。市場のメルトダウンを回避できず、結局は当初案を大幅に上回る規模の支援を余儀なくされたという。

  「同種の過ちが今、繰り返されようとしている」と、ハーバード大学の教授でブルームバーグテレビジョンの寄稿者でもあるサマーズ氏は警告した。

ブルームバーグ・グローバル・アグリゲート・トータル・リターン・インデックス出所:ブルームバーグ

  トラス英政権の財政プログラムを巡り金融市場が混乱したことについては、世界の金融システムにはまだ地雷が残っている可能性が高いと指摘。「その一部は民間セクターかもしれない。国境を越えた地雷は多いと考える」と述べた。

原題:Summers Sees More Land Mines After UK, Warns on Bond Shut-Out(抜粋)