[香港 2日 ロイター] – 香港に上場している中国の不動産会社少なくとも14社の監査法人が今年に入って監査役を外れたことが、証券取引所に提出された資料で明らかになった。長期にわたり決算を発表していない企業が数社含まれており、企業統治(ガバナンス)を巡る懸念が強まった。

14社には資金繰り難に陥っている融創中国、世茂集団、佳兆業集団が含まれる。多くの場合、4大監査法人以外の会計事務所が代役を頼まれた。

監査役の撤退は今年に入って加速しており、「ビッグ4」の一角を占めるプライスウォーターハウスクーパース(PwC)とデロイトも監査役を外れた。

アナリストや香港の監査監督当局はこの傾向について、透明性とガバナンスの問題を浮き彫りにしていると指摘。決算発表の直前に監査役を外れるケースが多い点に注目すべきだとした。

香港の監査当局は先週、関係企業への公開書簡で、決算発表期直前の監査役交代によって監査の質が損なわれることに懸念を強めていると表明していた。

S&Pグローバル・レーティングのディレクター、エドワード・チャン氏は、不動産会社の多くは既に債務返済に苦戦しているとし、新たな監査役が決算発表で何を公表するかに市場は注目していると述べた。