永岡桂子文部科学相

 永岡文部科学相は11日午前の記者会見で、「世界平和統一家庭連合」(旧統一教会)に対して宗教法人法に基づく質問権を行使する考えを表明した。質問権の行使は1996年施行の改正法で創設されて以来、初めてとなる。永岡桂子文部科学相

 永岡氏は、旧統一教会を巡って、民事訴訟で信者らの不法行為責任を認めた判決が22件あり、損害賠償額も少なくとも約14億円に上るとして、文化庁で定めた質問権行使の基準を満たすと判断した。永岡氏は「宗教法人法の手続きにのっとり、収集した事実関係に基づいて厳正に対処したい」と述べた。

 月内にも宗教法人審議会に諮問し、意見を聞いた上で、年内の早い時期に質問を提示する方針だ。旧統一教会側の回答内容次第では、質問が複数回にわたる可能性がある。

 調査の結果を踏まえ、永岡氏は、旧統一教会の解散命令を裁判所に請求するかどうか判断する考えだ。

 文化庁は8日、有識者会議の議論を踏まえて、法令違反による広範な被害や、重大な影響が生じている疑いがある場合などを対象とする質問権行使の基準を策定していた。「疑い」については、公的機関の判断などを根拠にすると規定している。

 実務を担う文化庁宗務課は、法務省や国税庁などからの応援を受けて計38人に増員し、具体的な質問項目の作成を急いでいる。旧統一教会の被害救済に取り組んできた「全国霊感商法対策弁護士連絡会」との情報共有も進めている。