「あなた方はこのような形で対話を行うことを望んでいたのか」と、中国の楊潔篪共産党政治局員(当時)が米アラスカ州アンカレッジで米国側に詰め寄ったのは2021年3月。非難の応酬に始まった米中外交トップ会談でバイデン政権と中国の関係は冷戦時代の米ソのように冷え込み、ペロシ下院議長の台湾訪問で過去にないレベルに悪化しました。しかし今回の首脳会談で雪解けの兆しが見えたと金融市場は楽観。米市場に上場する中国株は上昇しました。ホワイトハウスは首脳会談のフォローアップとして、かつてアラスカで中国側を激怒させたブリンケン国務長官を中国に派遣します。以下は一日を始めるにあたって押さえておきたい5本のニュース。
協調とけん制
バイデン米大統領と中国の習近平国家主席はインドネシアのバリ島で会談し、米中間の緊張緩和を呼び掛けた。気候変動や経済安定、食料安全保障などの問題について高官同士の協議も再開されるという。バイデン氏は記者会見で、中国が台湾を侵攻する「差し迫った」脅威はないと明言。「新たな冷戦の必要性はないと確信している」とも語った。両首脳は「ウクライナでの核兵器の使用もしくは核使用の脅し」に反対することで一致した。一方で、中国外務省は声明で貿易や経済に関する米国の政策に言及し、「誰の利益にもならない」と批判した。ホワイトハウス側も、バイデン氏が「新疆やチベット、香港での中国の慣行やより全般的な人権について懸念を提起した」ことを明らかにした。
近く適切に
米連邦準備制度理事会(FRB)のブレイナード副議長は、「恐らく利上げペース減速への移行が近く適切になるだろう」と発言。一方で「われわれは多くのことを行ってきたが、追加でしなければならないことがある」として、利上げを停止する用意はまだないことも強調した。インフレ動向については「直近のCPI統計の数字は、われわれが重視するコアPCE指標も若干低下している可能性を示唆する」とし、「それは歓迎すべきことだ」と語った。
過去最大
電子商取引最大手の米アマゾン・ドット・コムは今週にも約1万人をレイオフする計画だと、米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)が報じた。同社にとって過去最大規模の人員削減になるという。音声アシスタント「アレクサ」の担当部署を含むデバイスグループやリテール部門、人事が削減の対象になるという。同社は先月、年末商戦を含む10-12月(第4四半期)の売り上げが低調になるとの見通しを示していた。
2%は遠く
米消費者のインフレに対する楽観度が10月に低下したことが、ニューヨーク連銀の調査で分かった。ガソリン価格が上昇するとの見通しなどが影響した。1年後のインフレ期待は5.9%に上昇。9月調査時は5.4%だった。3年後は3.1%(9月は2.9%)、5年後は2.4%(同2.2%)にそれぞれ上昇した。NY連銀は家計のファイナンスや雇用市場に対する見方も調査しているが、こうした指標の幾つかは10月に悪化した。今後の所得の伸びについては楽観姿勢を強めていることも分かった。
また引き下げ
石油輸出国機構(OPEC)は世界の石油需要見通しを再び引き下げた。OPECは市場の均衡を維持する目的だとして、10月に減産に合意していた。OPECは月報で、10ー12月(第4四半期)に必要となる原油生産量の見通しを日量52万バレル引き下げた。この見通しは先月も同様の規模で下方修正していた。景気減速に加えて、中国の厳しい新型コロナウイルス対策が背景にあるという。
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