[東京 28日 ロイター] – 日銀が28日に発表した2022年度上期の財務諸表などによると、金利上昇で保有国債は8749億円の評価損となり、評価損としては現行の会計制度となった1998年以降で最大となった。上期末時点の資産は685兆7902億円。21年度末の736兆2535億円を下回り、半期ベースで11年ぶりの減少。新型コロナウイルス対応特別オペの制度縮小で貸出金が大幅に減った。一方、最終利益に当たる当期剰余金は前年同期比1.5倍の1兆5924億円で過去最高。大幅な円安で為替差益が膨らんだ。
<貸出金が大幅減>
9月末の資産残高は、前年同期末に比べて5.3%減少した。貸出金は42.1%減の80兆1415億円。このうち、コロナ対応特別オペの残高は10兆8006億円と、前年同期末と比べて約67兆円減った。
一方、国債は3.3%増の545兆5211億円。時価は544兆6462億円で8749億円の評価損となった。評価損となるのは福井俊彦総裁(当時)の下で量的緩和の解除を模索していた2006年3月末以来。
上場投資信託(ETF)は1.9%増の36兆9057億円となった。時価は48兆0208億円で、11兆1151億円の評価益。評価益は3月末の14兆6854億円を下回った。
このほか、不動産投資信託(REIT)は0.4%増の6669億円。
上期末の自己資本比率は9.90%と前年同期末の8.87%を上回った。
<為替差益、歴史的円安で53.8倍>
22年度上期決算では、経常利益が前年同期比2.3倍の3兆0059億円。大幅な円安で為替差益が1兆5063億円と前年同期の280億円の53.8倍に膨張した。保有するETFからの分配金も1兆0153億円と前年同期の7718億円から増加した。国債の利息収入は6003億円だった。
地域金融強化のための特別当座預金制度の付利額は410億円だった。22年度上期、付利の対象は地方銀行と信用金庫合わせて256先となった。
(和田崇彦 編集:田中志保)