Steve Matthews、Jonnelle Marte、Rich Miller

  • ボスティック総裁、次回利上げ「25bpでも50bpでも違和感ない」
  • FRBが「引き続き保険かけるのは間違いない」-クロズナー元理事
Christopher Waller, Lael Brainard, Jerome Powell, Michael Barr, and Michelle Bowman.  Photographer: Al Drago/Bloomberg

6日発表された2つの米経済指標では物価上昇圧力が緩和しつつある兆候が示されたが、複数の当局者からはインフレ抑制のためにさらなる利上げが必要だとの主張が相次いだ。

  昨年12月の雇用統計では、平均時給が前月比で0.3%増、前年同月比では4.6%増と、いずれも予想を下回る伸びとなった。米供給管理協会(ISM)が発表した昨年12月の非製造業総合景況指数は市場予想以上に低下し、縮小圏に陥った。

  両統計の発表後、アトランタ連銀のボスティック総裁は、インフレは依然として高過ぎるとし、政策金利を5%超の水準に引き上げることへの支持をあらてめて表明した。リッチモンド連銀のバーキン総裁は、物価上昇率を金融当局の目標である2%に戻すには「まだやるべきことがある」と述べた。

ボスティック総裁、次回利上げ幅「25bpでも50bpでも違和感ない」

  連邦準備制度理事会(FRB)のクック理事は、賃金の伸び鈍化などインフレ圧力が和らぎつつある兆候に言及しつつ、インフレは金融当局が納得できないほど高過ぎる水準にとどまっていると強調した。

クックFRB理事、インフレ鈍化の兆候ある-まだ高過ぎると強調も

  ブルームバーグ・エコノミクス(BE)のアナ・ウォン、イライザ・ウィンガー両エコノミストは「労働市場の勢いは昨年末にかけて若干弱まったが、再び加速している可能性がある」と指摘。米金融当局が0.25ポイントずつ2回の追加利上げを行い、政策金利は3月に5%に到達するとの予想を示した。

  米連邦公開市場委員会(FOMC)は昨年12月13、14両日に開催した定例会合で、主要政策金利の0.5ポイント引き上げを決定。それまで4会合連続で続けてきた0.75ポイントの利上げからペースを減速させた。ただ、2023年に利上げの継続を見込んでいることも示唆した。

  12月雇用統計発表後、ランドール・クロズナー元FRB理事は「今月末の利上げ継続は確実で、3月も利上げを継続する公算が大きい」と指摘。「ただ、50ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)ではなく25bpの利上げが実施される可能性が高まったかもしれない」と述べた。

  現在はシカゴ大学ブース経営大学院の経済学教授である同氏は、賃金上昇率と失業率の両方が下がったことを理由に今回の雇用統計を「完全なディスインフレ統計だ」と表現。その上で、労働市場が逼迫(ひっぱく)する中でインフレが根強く残るリスクに金融当局が「引き続き保険をかけるのは間違いないだろう」と述べた。

  今月で退任するカンザスシティー連銀のジョージ総裁は、金融当局には厳しい道のりが待っていると指摘。同連銀主催のイベントで総裁は「インフレと雇用のトレードオフが一段と明確になるのに伴い、政策立案者がより複雑な選択と難しいコミュニケーションに直面することに疑いはない」と述べた。

原題:Fed Officials Call for More Hikes Even as Price Pressures Cool(抜粋)