N H Kの1月世論調査によると、岸田内閣の支持率は前月に比べ3ポイント低下して33%だった。不支持率は1ポイント上がって45%。低迷する支持率は内閣発足後最も低かった昨年11月に並んだ。岸田内閣の支持率が上向く可能性はあるのだろうか?先のことはわからないが、個人的には難しい気がする。支持しない理由は「政策に期待が持てない」(51%)、「実行力がない」(28%)が主だ。政策に期待が持てなくて、実行力がない、となれば支持率回復の道筋は「ないも同然」。それでも自民党が得意とする倒閣運動が起こる気配はない。4月に統一地方選挙はあるが、国政選挙はしばらくない。G7サミットが5月19日から21日まで広島で開催される。この1月から日本は国連安保理の非常任理事国に就任している。ウクライナ戦争をはじめ国際政治は懸案山積だ。危機の中で持続する支持率の低い政権。それ自体が日本の“危機”という気がする。

個別の項目を見ると岸田内閣不信の原因がいっそうはっきりする。まずは「閣僚4人辞任、総理の任命責任は」という質問に、「大いにある」と答えたのが33%、「ある程度ある」が38%、合計すれば71%になる。だが「責任の取り方」という質問はない。総理に対するN H Kの気遣いか。質問すれば「辞任」が圧倒的多数となるだろう。「防衛増税の賛否」、「反対」が61%で圧倒的だ。当然だろう。それでも「賛成」が28%もある。「賛否」の内訳を細かく見ると与党支持層でも「賛成」が42%、「反対」が50%。野党支持層になると「反対」が79%に跳ね上がる。無党派層でも「反対」が69%だ。岸田総理は増税実施の前に総選挙を行うと言っている。増税時期は「24年度以降」としているが、総選挙は意外に早いかもしれない。ひょっとすると今年の秋ごろか。そうなると倒閣運動が起こるだろう。一見平穏な年明けだが、今年の自民党内政局は波乱含みということだ。

「子ども予算倍増議論 進め方の評価」という項目がある。岸田総理自ら異次元の少子化対策とぶち上げた項目だ。「適切だ」との回答は24%、最も多いのは「遅すぎる」との回答で46%もある。「予算を倍増する必要はない」も19%に上る。圧倒的多数の70%が少子化対策をやれと回答している。小池東京都知事は同じ日に18歳未満の子供を対象に毎月5000円を支給すると、幹部会で発表した。機を見るに敏というべきか。具体的な金額を盛り込んだ都知事の対策に比べ評価はかなり見劣りする。いくら「異次元」と力んでも、具体策がなければダメだろう。与党支持層の評価でもこの項目は「適切」との評価は29%にとどまっていて、「遅すぎる」が44%に達している。岸田総理、やることなすことピントとタイミングが合ってない。支持率回復に向け起死回生の一手があるとすれば、今春闘で予想を超える大幅な賃上げが実現することだ。その兆しがないこともない。Good Luckを祈ろう。