今日のタイトルは、きのう日銀が開催した「金融政策決定会合」に関するブルームバーグの記事の見出しだ。日本のメディアではほとんどお目にかかれない過激な表現。個人的にはこれが事実だという気がする。批判を一心に浴びる、これも次期総裁に引き継ぐための環境整備の一環かもしれない。そんな気がしないこともない。世界の中央銀行とかけ離れた日銀の現実の姿が、きのう改めて白日のもとにさらされた。インフレが続く中で従来通りの金融緩和政策を維持し、国債の許容変動幅も据え置いた。その上で共通担保オペを強化するという奇策も登場した。言ってみれば「低金利でカネを貸すから国債を買え」と言ってるようなもの。歪んでしまった市場機能の修正は市場参加者が自ら行えと、強権的な上から目線で威つけている。悪役もここまで徹すれば、次期総裁はやりやすくなるかもしれない。以下はロイターが配信した市場参加者の声である。

<大和証券 チーフエコノミスト 末広徹氏>今回決まった「共通担保資金供給オペ」の拡充については、市場に低金利で資金を供給して、国債を購入するインセンティブを与えることが狙いだろう。同オペの利点は日銀が国債を買わずして金利低下圧力をかけられることで、いわば「他力本願」な政策。拡充の背景には、日銀が国債買い入れに限界を感じている可能性があるとも読める。
<ピクテ・ジャパン ストラテジスト 糸島孝俊氏>今回の決定は、投機筋にもう一度チャンスを与えた面もある。現状維持となったことで、先行きの政策修正への思惑は引き続きくすぶっている。米連邦公開市場委員会(FOMC)結果発表(2月1日)や、日銀新総裁人事への思惑から、もう一波乱あってもおかしくない。
<ニッセイ基礎研究所 上席エコノミスト 上野剛志氏>日銀の政策修正観測はなかなか沈静化しないとみている。

黒田東彦日銀総裁が会見で緩和を継続すると述べたとしても、前回の会合で唐突に政策を修正し事実上の利上げに踏み切ったことから、市場との対話が損ねられている。日銀の情報発信に対する信頼は低下しているため、額面通りには受け止められない。また、総裁の任期が数カ月となることも、市場の観測を鎮静化させにくい。今後も金利上昇や株安圧力がかかりやすい場面が想定される。
<JPモルガン証券 債券調査部長 山脇貴史氏>共通担保オペで金利入札方式の期間を1年から10年に延長したことで、次期日銀総裁が就任早々に市場機能低下に対応しなくてもいいように、黒田東彦総裁がうまく道をつないだともみえる。限界が見えてきたイールドカーブ・コントロール(YCC)など現在の金融政策のフレームワークの変更、それは次期総裁がマクロ環境をみながら検証し修正していくことになりそうだ。