ロシア西部ブリャンスク州のウクライナ国境に近い村で警戒に当たる治安当局者ら=3日(タス=共同)
ロシア西部ブリャンスク州のウクライナ国境に近い村で警戒に当たる治安当局者ら=3日(タス=共同)

ウクライナの「妨害工作部隊」がロシア西部ブリャンスク州に侵入し、民間人を殺傷したとロシアが主張している問題で、国営ロシア通信は5日、侵入に参加した疑いで、露内務省が露連邦保安局(FSB)元職員、イリヤ・ボグダノフ氏を指名手配したと報じた。これに先立ち、露国営メディア「RT」は「妨害工作部隊」が同州で撮影したとする動画にボグダノフ氏が映っていると伝えていた。

問題は2日に発生。ロシアは、ウクライナから越境した数十人の「妨害工作部隊」が民間人3人を死傷させたと主張した。これに対し、ウクライナ侵略に反発するロシア人らで構成し、ウクライナ側で参戦している「ロシア人義勇兵部隊」は同日、動画を通じて声明を発表。「私たちは妨害工作部隊ではなく、プーチン政権の支配下からロシアの解放を目指す解放軍だ」と越境を認めるとともに、民間人殺傷は否定した。越境した理由については「露国民に政権と戦えることを示すためだ」と説明した。

RTは、動画内で声明を出した兵士の一人がボグダノフ氏だと指摘。同氏はロシアがウクライナ南部クリミア半島の併合を一方的に宣言した2014年にウクライナに亡命したという。

一方、焦点化している東部ドネツク州バフムトの戦況を巡り、ウクライナ軍東部方面部隊のチェレバティ報道官は5日、ウクライナ軍が防衛線を保持し、補給路も確保していると説明した。地元テレビでの発言を同国メディアが伝えた。同国のゼレンスキー大統領は5日のビデオ声明で、バフムトなどで「困難な闘いが続いている」と述べた。

露国防省は5日、東部ハリコフ州やドネツク州で多数のウクライナ軍の装備を破壊したほか、同国軍に計500人規模の損害を与えたと主張した。