今週は一週間を通しして金融波乱にお付き合いしたことになる。きのうWBCの準々決勝をテレビで観戦、日本がイタリアを大差で下し準決勝進出を決めた。ベスト4が戦う舞台は米国フロリダ。共和党の有力大統領候補と見られているデサントス氏が知事をつとめている州だ。ここに行くためにはイタリアに勝つしかない。大リーガーを揃えたイタリアも強い。先発・大谷の投球は圧巻だった。最初から全力投球。勝つためのセーフティ・バンドという選択も大谷ならではの勝利へのこだわりだろう。岡本の3ランも見事。何よりも追加点を叩き出した村上のツーベースが圧巻だった。絶不調の村上の復調を告げる一発、ベンチが全員で村上を祝福していた。ベンチとスタンドが一丸となって燃える瞬間でもある。これが野球というスポーツの魅力だろう。9対3の勝利を確認して心地よい眠りについた。
朝起きてニュースを見る。目に飛び込んできたのがクレディ・スイス(CS)の経営不安に伴う市場の動揺というニュースだ。世界中に不穏な空気を撒き散らしていた金融不安、それを増長するようなCSをめぐる不透明感。SVBやシグネチャーバンクの破綻よりもこの銀行の危機は深刻に見える。前々から悪い噂はいっぱいあった。金融大国スイスの主力銀行で、筆頭株主はアウジアラビアの投資家だ。信用が売り物のスイスの銀行、CSって一体どんな銀行。改めて調べてみた。ブルームバーグ(BB)が16日付で配信した記事がある。それによると「クレディ・スイスでは近年、ブルガリアの麻薬組織によるマネーロンダリング(資金洗浄)を巡る有罪判決、モザンビークでの汚職への関与、元従業員と幹部が関与したスパイ・スキャンダル、顧客データのメディアへの大量リークなど不祥事が相次いでいた」とある。信用とはおよそかけ銀行ではないか。
まだある。「これに加え、破綻した英金融ベンチャー、グリーンシル・キャピタルの創業者レックス・グリーンシル氏や、破綻に至ったアルケゴス・キャピタル・マネジメントとの関係が明らかになったことで、内部統制の甘さが浮き彫りになった。この結果、多くの顧客が同行に見切りをつけ、2022年後半に前例のない規模の顧客流出が進んだ」。SVBの破綻以前から問題を抱えていた銀行である。SVBの破綻でその銀行の流動性が改めて懸念される事態となった。それでもスイス中央銀行をはじめ世界中の金融関係者がCSに関連した金融波乱の封じ込めに動かざるを得ない。システミックリスク回避のためには、大きすぎる銀行は潰せない。プーチンのウクライナ・ナチ説も噴飯物だが、大手金融機関の“悪行”にも救いがない。悪が蔓延る地政学リスクに不正に手を染める金融機関リスク、地球を覆うリスクのなんと悪辣なことか。
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