先週の日曜日(26日)、食事と遊びを兼ねて孫ファミリーとスカイツリーを訪れた。電車を降りて推し出されるようにソラマチ&スカイツリーへ。どこまでがソラマチでどこからがスカイツリーか。いまだに判然としない。何年ぶりにきたのか、記憶も定かではない。「雨だから人出は少ないだろう」、当方の楽観的な予想に反してどこもかしこも人、人、人・・・。「雨だから人が集まるの」とは娘の解説。「なるほど」、今更ながら世間との感覚のズレを実感。着いたのは12時半ごろ、ちょうど昼食の時間帯に重なっている。なんとなく不吉な予感。案の定、レストランや喫茶店はどこもかしこも長い列。待ち時間を確認すると「1時間以上は間違いなくかかります」、店員の確信に満ちた答えが返ってくる。仕方ない。店頭に設置されている受付名簿に名前を書いて待機する。キッズランドも水族館もプラネタリュウムも、めぼしいところはすべて長蛇の列。

並んで予約した水族館の入場は16時から。まだ3時間以上ある。ところどころに設置されている休憩用の椅子もほぼ例外なく満席。だからここにいる人々の行動はみな一緒になる。並んで予約する。数時間後の予約が取れてもその間に行くあてもない。できることはソラマチとスカイツリーをあてもなくブラブラすることだけ。雨だから展望台に行く気もしない。歩いて時間を潰す。それでも誰ひとり文句一つ言わない。行列は長短に関係なく整然と秩序を保っている。割り込む人もいなければ、喧嘩や口論もない。外国人もちらほらいる。彼らも日本人並みに秩序を保っている。平和な国・日本を象徴する一幕だ。スカイツリーを離れて押上の街に出ることもできない。旧来からの商店街とソラマチは隔絶されているのだ。スカイツリーとソラマチにいくら人が溢れても、周囲の商店街は閑散としている。確認したわけではないが、おそらくそうだろう。

考えてみればこれがいまの日本の縮図だ。大都市の一点にだけ人が集まり、そこではビジネスが盛り上がり、遊び場も飲食店も人々で溢れている。スカイツリーを取り囲むように点在している墨田区押上の商店街は、ソラマチに吸収されて観光客もまばら。繁盛しているのはスカイツリーの運営会社とソラマチに出店しているテナントだけ。そこに集まる観光客はただひたすら歩いている。同じような光景は大都市のあちこちでみられる。六本木、日本橋、八重洲。東京だけではない。アベノハルカス、大阪ステイションシティも同類か。巨大イオンモールは全国に点在している。こうした大型商業施設の特徴はいずれも、「客を掴んで離さない」ことだ。要するに一点豪華主義。ヒトが集まって奔り出る活気が、周辺の商店街に滲み出ることはほとんどない。トリクルダウンどころではない。利益の囲い込みだ。周辺の商店街と連携した巨大施設の開発はないのだろうか。街ぐるみの開発を進める渋谷はどうか、例外か?