統一地方選の結果について、記者団の質問に答える自民党の森山裕選対委員長=9日、同党本部

 自民党は、大阪府知事・市長の「ダブル選」で地域政党・大阪維新の会に勝利を許しただけでなく、奈良県知事選でも日本維新の会に敗北し、衝撃を受けている。

【図解】知事選の主な構図と結果  

 岸田政権の「中間評価」が問われる23日投開票の衆参5補欠選挙に不安を残した。

 自民は、大阪ダブル選で地元組織が無所属の女性新人をそれぞれ支援したが、いずれも敗れた。奈良県知事選では、現職と新人に支持が割れる「保守分裂」の選挙戦となり、維新が「漁夫の利」を得た。

 敗因を巡り、自民ベテランは「(有権者は)一つになれない自民党に嫌気が差した」と指摘。維新との対決になる衆院和歌山1区補選でも、組織の結束に不安を抱えており、「同じことが起こり得る」と警戒感を隠さない。

 森山裕選対委員長は9日夜、党本部で記者団に「和歌山に影響が全くないとは思わないが、努力する以外にない」と強調。北海道、大分県知事選では、与党推薦候補が野党系候補との対決を制したものの、党内に高揚感はない。

 公明党は統一地方選を国政選挙並みに重視。公認候補の「全員当選」を目指したが、取りこぼした。今後、指摘される党勢の衰えが一段と加速する可能性もあるが、山口那津男代表は記者団に「着実に当選・当確が積み上がっている」と強調した。

 維新は「全国政党化」に向け、候補者を積極擁立。その足掛かりと位置付ける奈良県知事選には幹部が相次ぎ応援に入った。馬場伸幸代表は大阪市で記者会見し、「大阪でやってきた改革が今、全国的に広がりつつある」と手応えを示した。

 一方、立憲民主党は与野党の全面対決となった北海道知事選で推薦候補が敗北。大串博志選対委員長は「さまざまな要因で力及ばずだった」と肩を落とした。党内からは衆参5補選への影響を不安視する声が漏れる。

 共産党の小池晃書記局長は記者団に「(統一選)後半戦へ奮闘したい」と強調。維新について「自民党以上に危険な政党という本質をしっかり伝えていきたい」と語った。国民民主党の榛葉賀津也幹事長は「地方組織の基盤を一定程度整えることができた」とのコメントを出した。