[ハルツーム 21日 ロイター] – 正規軍と民兵組織の軍事衝突が続くアフリカ北東部スーダンで、正規軍は21日、イスラム教の祝日である「イード・アル・フィトル(ラマダン明けの祝祭)」に合わせ21日から3日間の停戦に合意したと発表した。

正規軍は声明で「反政府勢力が休戦の全要件を順守し、それを妨害するような軍事的行動を止めることを望む」とした。

これより先、正規軍と戦闘を続ける準軍事組織「即応支援部隊(RSF)」は21日午前6時から72時間停戦に合意したとし、「市民を避難させ、家族に会う機会を与えるため人道回廊を設ける」としていた。

停戦を巡っては、ブリンケン米国務長官がこの日、停戦を歓迎するコメントを発表。軍トップのブルハン統治評議会議長とRSFモハメド・ハムダン・ダガロ司令官と会談を行い、期間中は停戦を順守するよう双方に促したことを明らかにした。

ただ目撃者によると、ハルツームでは停戦宣言後も激しい銃声が聞こえていたという。イード・アル・フィトルの早朝の祈祷が呼びかけられる中でも、首都の北部、西部、中心部で正規軍とRSFの兵士が銃撃戦を展開していた。

銃声は一日中、間断なく鳴り響き、時折、砲撃や空爆の音が混じる。ドローンの映像では、首都ハルツーム周辺全域の複数の場所から煙が立ち上る様子が確認された。

正規軍は声明で「首都周辺の反政府勢力の温床を掃討する」と表明した。正規軍はこれまで空爆を中心に攻撃していたが、首都での地上戦が強化されたことで戦闘は新たな局面に入った。

戦闘が激化する中、国連機関の国際移住機関(IOM)はこの日、職員1人が死亡したと発表した。軍事衝突が始まってからスーダンで死亡した国連職員は4人目。死亡した職員は男性で、家族を安全な場所に避難させようとした際に車が砲火を受けたという。

世界保健機関(WHO)によると、これまでに少なくとも413人が死亡、数千人が負傷。病院が攻撃を受けるなどしているため、最大2万人が隣国チャドなどに避難した。

国連世界食糧計画(WEP)は職員3人が死亡したことを受け、スーダンでの活動を停止。目撃者によると、数千人の住民が首都ハルツームから戦闘を逃れ、南部ゲジラ州や北部のナイル川流域などに避難しようとしている。

米国務省も、スーダンで米国人1人が死亡したと発表した。詳細には触れなかった。

戦闘は首都だけでなく、西部のダルフール地方にも拡大。スーダンはエジプト、サウジアラビア、エチオピアのほか、不安定なサハラ砂漠南部のサヘル地域などに囲まれており、スーダンの情勢不安でこの地域の緊張が一段と高まる恐れが指摘されている。

こうした中、スイスは21日、スーダンから自国民を避難させる方法を検討していると表明。スウェーデンは大使館職員と家族の速やかな帰国を計画しているとした。

米国のオースティン国防長官は、米軍は在スーダン米国大使館員の避難を含む選択肢を準備していると表明。ただ、現時点では何も決定されていないとした。