衆院山口2区の補欠選挙で初当選を決め、万歳する岸信千世氏(中央)=23日夜、山口県岩国市
衆院山口2区の補欠選挙で初当選を決め、万歳する岸信千世氏(中央)=23日夜、山口県岩国市

岸田文雄政権への中間評価となる衆参5つの補欠選挙は、自民党がもともと有していた3議席を上回る4議席を確保した。内閣支持率が上昇基調にある中、補選の勝利で政権の勢いを証明した形で、自民内で早期の衆院解散論が強まりそうだ。一方で自民は、衆院和歌山1区で勝利した日本維新の会の勢力拡大を警戒。首相が6月21日に会期末を迎える今国会中に解散に踏み切るのかが焦点になる。

首相は、5補選を政権への信任を問う機会と位置付けた。選挙戦の街頭演説で、賃上げや少子化対策に取り組む決意を示した上で「有権者の皆さんに『やってみろ』と言っていただけるかどうかが、この選挙で問われている」と述べた。

最終日の22日には参院大分選挙区、衆院和歌山1区、千葉5区を回った。応援に入った接戦区を落とせば、「首相の集票力不足」と指摘されかねないリスクがある。それでも首相は勝負に出て、議席の上積みに成功した。

自民の茂木敏充幹事長は23日夜のNHK番組で、解散戦略について「今回の結果の分析も含めて首相が判断される」と述べるにとどめた。ただ、野党第一党の立憲民主党が低迷した結果を受け、党幹部の一人は「首相は勝負したくなるかもしれない」と語る一方、「維新の存在は要注意だ」と語った。

自民にとって保守地盤が強い衆院和歌山1区で維新に敗れたのは痛手といえる。維新は9日投開票の奈良県知事選でも勝利し、大阪以外で初めての維新公認の首長を誕生させたばかりだ。首相は衆院和歌山1区の選挙戦前半に爆発物を投げつけられる事件に遭いながら最終日に再び応援入りした。しかし維新に及ばなかった。茂木氏は同じ番組で、関西圏において「体制の抜本的な見直しが必要だ」と語った。

5月19~21日の先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)で首相の露出が増え、支持率はさらに上向く-。自民内ではこうした期待感から、会期末間際の6月解散論も出ている。

首相は「次元の異なる少子化対策」の具体化などを重視し、早期解散には慎重な姿勢を見せてきた。ただ、今年後半に入れば景気後退の懸念が指摘され、年末には防衛費増額に伴う増税の実施時期を決めなければならないなど不安材料が多い。補選の勝利で解散風が強まれば、首相の背中を押す可能性はある。

菅義偉前首相は衆院議員の任期満了が半年後に迫った令和3年4月、衆参3補選・再選挙で1勝もできなかった。党内から「菅氏では衆院選を戦えない」と危機感が強まり、解散に踏み切れずに退陣に追い込まれた。首相には菅氏と同じ轍を踏みたくないとの思いがあり、維新の動きも慎重に見極めながら解散の時期を探ることになる。(田中一世)