[フランクフルト 4日 ロイター] – 欧州中央銀行(ECB)は4日、政策金利を予想通り0.25%ポイント引き上げた。また3兆2000億ユーロ規模の資産購入プログラムについて満期償還金の再投資を7月から停止すると発表した。

理事会後のラガルド総裁の記者会見での発言は以下の通り。

<利下げのコミットメントなし>

将来的にさほど高くない金利への回帰を促進するため、適時に、つまりはできる限り早期にインフレを抑制することがわれわれにできる最善の措置だ。現時点で今後のどの時点における利下げにもコミットしない。

<食品価格>

食品価格はとりわけ脆弱な層に最も打撃を与えている。下落を確認しているものの、注意深くなる必要がある。

<賃金、利益、インフレ>

昨年は利益がインフレ押し上げに寄与していることを指摘した。2023年は賃金がよりインフレに寄与している状況を確認している。これらインフレの原動力が相互に誘発し合わないことを望む。

<波及効果>

特に銀行融資に関する調査、もしくは金利、ここ数カ月の金利上昇ペースに目を向けると、われわれの金利決定や現在の金利水準が影響を及ぼしていることは明白だ。しかし現時点で物価に影響を及ぼしインフレ低下につながる実態経済への波及は見られず、十分な効果が波及しているかどうかは分からない。そのため、完全な(効果波及の)サイクルはまだ確認していない。

<政策は一段と引き締まる必要>

(金融政策は)間違いなく制約的だ。十分に制限的かと言えば、まだだ。

<ECBの道程>

われわれはこの9カ月で多くの範囲をカバーした。まだ利上げのプロセスを続けている。(目的地には)まだ到着していない。

<インフレ期待を注視>

長期的なインフレ期待を示すほとんどの指標は現在2%台で推移しているが、いくつかは上昇傾向にあり、引き続き監視する必要がある。

<集中した雰囲気>

政策決定担当者全員が、インフレと戦い、インフレを抑制し、中期的にインフレ率を2%に戻すことを決意している。あまりにも長い間、インフレ期待が高すぎたというのが全員の結論だ。われわれは入手可能な全てのデータに細心の注意を払う。その一例として、2日に公表した銀行貸出調査がある。

<一時停止せず>

今後の決定は、インフレ率2%という中期目標回帰を適時に達成するために政策金利を十分に制約的な水準まで引き上げ、必要な限りその水準を維持することを確実にするものになるだろう。

利上げが必要であること、一時停止しないこと、この2点は非常に明確だと全員が合意したと言って差し支えない。われわれは、さらになすべきことがあると認識している。

<インフレに対する上方リスク>

インフレ見通しには依然として大きな上方リスクがある。これらには短期的に消費者物価を予想以上に上昇させる要因もある。さらにウクライナ戦争がエネルギーや食料の価格を再び押し上げるとみられる。

目標を上回るインフレ期待の持続的な上昇や、賃金および企業の利益率の予想以上の上昇が、中期的にもインフレ率を上昇させる可能性がある。

<銀行セクターは堅固>

ユーロ圏の銀行セクターは、理事会前に金融市場で生じた緊張に対する耐性を証明した。われわれの政策金利引き上げは、リスクフリー金利や企業、家計、銀行の資金調達条件に力強く伝わっている。

<賃金・利益>

最近妥結した賃金協定は、特に利益率が高水準にとどまればインフレ上振れリスクに加わっている。

<エネルギー支援策>

エネルギー危機が後退するに伴い、各国政府は関連支援策を迅速かつ協調的に縮小し、中期的な金融政策圧力を押し上げないようにすべきだ。圧力が高まればより強い政策対応が必要になる。

<雇用と所得>

3月に失業率が6.5%と歴史的な低水準に低下し、家計所得は労働市場の強さの恩恵を享受している。

<経済の分野間に相違>

経済の分野の間で状況に差が見られる。製造業は受注残をこなしているが見通しは悪化している。一方、サービス業は経済再開もあって成長が強さを増している。