[東京 29日 ロイター] – 日銀が29日に発表した2022年度の財務諸表などによると、最終利益にあたる当期剰余金は前年度比7629億円増の2兆0875億円となり、日銀法が施行された1998年度以降で最高となった。当期剰余金から法定準備金と配当金を差し引いた国庫納付金は1兆9831億円となり、こちらも過去最高。国庫納付金は4年連続で1兆円を超えた。

金利上昇を受け、23年3月末時点の保有国債は1571億円の評価損。22年3月末時点は4兆3734億円の評価益だったが、年度末ベースで05年度末以来の評価損となった。

<保有資産の収益、経常利益を押し上げ>

経常利益は前年度比8121億円増の3兆2307億円で過去最高。保有する上場投資信託(ETF)の分配金等が1兆1044億円、保有国債の利息収入が1兆3319億円でともに前年度を上回ったことが経常利益を押し上げた。為替円安の影響で、為替差益は7490億円となり歴代2位の高水準。一方、地域金融強化のための特別当座預金制度の支払利息は748億円だった。

22年度末の自己資本比率は9.81%で、前年度末の9.29%から上昇した。

22年度末の保有国債は前年度比10.6%増の581兆7206億円で過去最高を更新。イールドカーブ・コントロール(YCC)の下、積極的に国債を買い入れた。もっとも、評価損は昨年9月末時点の8749億円からは縮小した。

日銀は保有国債の評価方法として償却原価法を採用しているため、国債の評価損は期間損益には影響しない。

新型コロナウイルス対応特別オペの縮小で貸出金が37.7%減となったことで、22年度末の総資産残高は前年度末比0.2%減の735兆1165億円と、過去最高となった前年度をわずかに下回った。総資産残高が前年度を下回るのは11年度末以来。

22年度末の保有ETFは37兆1160億円。評価益は16兆0356億円で、前年度末の14兆6854億円を上回って年度ベースで過去最高となった。

(和田崇彦 編集:宮崎亜巳)