[ケープタウン 1日 ロイター] – ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカで構成する新興5カ国(BRICS)の外相会議が1日から2日間の日程で南アのケープタウンで始まった。5カ国は多極化する世界でリーダーシップの発揮を目指すとし、欧米の大国に対抗する姿勢を主張した。

BRICS首脳はこれまでも新規加入に前向きな姿勢を示しており、今回の外相会議でBRICS拡大も議題として取り上げられた。今回の会議にはイランのアブドラヒアン外相とサウジアラビアのファイサル外相も参加。関係筋によると、両国のほかベネズエラ、アルゼンチン、アルジェリア、アラブ首長国連邦(UAE)がBRICSへの加盟を正式に申請したか、関心を示している。

南アのパンドール外相は「BRICSは競争、地政学的緊張、不平等、世界的な安全保障の悪化によって分断された世界でグローバルなリーダーシップを発揮することをビジョンとして掲げる」と表明。新規加入を可能にするためにはさらなる取り組みが必要であり、8月の首脳会議(サミット)までに新規加入に関する報告書が作成されることを望むとした。

中国の馬朝旭外務次官は、BRICS加盟国が増えることはBRICSの影響力を強め、発展途上国の利益のためにより大きな力が得られるとし、「BRICSの拡大はBRICS加盟国にとって有益」とした。

インドのジャイシャンカル外相は、経済力の集中により「あまりにも多くの国があまりにも少数の国の言いなりになっている」とし、国連安全保障理事会を含む世界的な意思決定機関の改革の必要性を指摘。「古いやり方では新たな状況に対応できない。われわれは変化の象徴だ。行動しなければならない」と述べた。

ロシアのラブロフ外相は、欧米諸国がロシアなどの国に対し制裁措置を植民地主義の道具として利用し、世界の権力闘争で競合する国を不当に弾圧していると非難した。

BRICSは2015年に「新開発銀行」(通称BRICS銀行)を創設。ロシアによるウクライナ侵攻を受け欧米諸国が課した制裁措置に対応するため、現在はロシアのプロジェクトへの資金供給を停止している。

パンドール外相は、BRICS銀行の幹部が「現在の国際取引通貨を代替する通貨を使用する可能性」について外相らに説明したと言及。その目的は「一方的な制裁につながった問題に全く関与していない国々に二次的な影響を与える制裁の犠牲者にならないようにすること」とした。

また「現在の金融情勢の中でBRICS機関のデリスキング(リスク低減)に向けた機会を探る」と述べた。ただ詳細については明らかにしなかった。