[イスタンブール 22日 ロイター] – トルコ中央銀行は22日、政策金利の1週間物レポレート を8.50%から650ベーシスポイント(bp)引き上げ15.0%とした。エルドアン大統領が強く求めていた低金利政策からの転換となる。ただ利上げ幅が予想を大きく下回ったため、通貨リラは急落した。

今回は、エルドアン氏の大統領選勝利後に任命されたエルカン新総裁にとって最初の政策決定会合。利上げは2021年初め以来となる。

ロイター調査では、トルコ中銀は政策金利を21%に引き上げると予想されていた。

アナリストは、エルカン新総裁がエルドアン政権下でインフレ対応に積極的に取り組む余地は限られている可能性があると指摘。トルコリラは中銀の利上げ発表から30分後に急落し始め、前日終値比約5%安の1ドル=24.80リラと、過去最安値を更新した。

中銀は、利上げは「できるだけ早期にディスインフレの軌道を確立しインフレ期待を安定させ、価格決定行動の悪化を制御するため」と説明。「インフレ見通しの大幅な改善が達成されるまで、適切なタイミングで緩やかに、金融引き締めが一段と強化される見通しだ」と表明した。

トルコのインフレ率は昨年10月に85%超と、24年ぶりの高水準を記録。ただ今年5月には40%をやや下回る水準に低下した。

トルコ当局者は今回の利上げについて、市場の過度な変動を避けることが目的で、政策引き締めの決意を示すものと指摘。こうした力強い措置は今後も続くとの見方を示した。

ただ、インタッチ・キャピタル・マーケッツのシニア外為アナリスト、ピョートル・マティス氏は「エルカン総裁がオーソドックスな金融政策を回復させる余地は限られている」としている。

ロイター調査では、大部分のエコノミストが年内の追加利上げを予想。年末時点の金利水準の予想中央値は30%となっている。