[東京 27日 ロイター] – 政府は9月末に終了予定の電力・ガス料金支援策を10月以降も継続する方向で検討に入った。支援規模はエネルギー価格や為替、物価をにらみ今後詰める。複数の政府・与党関係者が27日までに語った。
財務省のある幹部は「延長のやり方について、いろいろな議論がある」と述べ、支援額や期間などの詳細はこれから調整するとした。内閣府幹部も同様の見解を示した。
エネルギー政策全般を担当する経産省関係者は「政治的に延長せざるを得ない」と話した。
支援規模については流動的だ。政府内には規模縮小が可能との指摘があるものの、政治サイドからは「内閣支持率も低下しており、縮小は難しい」(与党幹部)とけん制する声が出ている。
現行の電力・ガス料金支援策「激変緩和対策事業」は政府が2022年度補正予算に約3.1兆円を計上し、今年1月使用分(2月検針分)から9月使用分(10月検針分)までが対象だ。
支援額は、家庭用電気料金で1キロワット時あたり7円、家庭用都市ガス料金で立方メートルあたり30円。
資源エネルギー庁によると標準的な家庭で、電気料金は月2800円、都市ガス代で月900円の負担軽減効果がある。
消費者物価指数でみても押し下げ要因となっており、総務省によると5月実績では、総合指数ベースで1.00パーセントポイント、除く生鮮食品(コアCPI)で1.04パーセントポイント下押しした。
9月使用分(10月請求分)は支援規模が同3.5円、同15円に半減する。
世界的な金融緩和やロシアのウクライナ侵攻を受けて急騰していたエネルギー価格は、昨年来、世界経済の減速などを反映して下落基調にあり、原油価格は今年4月時点の1バレル80ドル前後から足元では70ドル程度まで下げている。
岸田文雄首相は21日、通常国会閉会を受けて記者会見した際、原油・ガスなどエネルギー価格は落ち着きつつあるとしつつ、国民目線で価格高騰対策を行うとの方針を述べている。
(竹本能文)