23日、プノンペンの投票所で、カンボジア総選挙の投票のため列をつくる有権者
23日、プノンペンの投票所で、カンボジア総選挙の投票のため列をつくる有権者

 【プノンペン時事】カンボジアで23日、内戦終結後7回目となる総選挙(下院定数125、任期5年)の投票が行われた。国家選挙委員会の暫定結果によると、与党カンボジア人民党の圧勝が確実になった。有力野党は選挙から排除されていた。次期政権ではフン・セン首相(70)の長男フン・マネット氏(45)が、「世襲」で首相に就任する見通しだ。

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 人民党のソク・エイサン報道官は22日、時事通信の取材に「選挙に勝利した場合、新政権の首相候補はフン・マネット氏だ」と明言した。

 有権者は約970万人で、投票率は84%。暫定結果によると、王族が党首のフンシンペック党が人民党に次ぐ票を得ており、議席を獲得する可能性もある。

 フン・セン氏は首相として38年間、権力の座にある。1990年代まで続いた内戦でカンボジア経済は疲弊したが、中国からの援助などを背景に、一時は10%を超える成長を成し遂げた。

 野党・救国党が躍進した2013年の総選挙後、フン・セン氏は独裁を強化し、17年には同党の党首を逮捕するとともに解党を命令。18年の総選挙では人民党が議席を独占した。22年の地方選挙では救国党の流れをくむキャンドルライト党が勢力を伸ばしたが、書類不備を理由に今回の総選挙への参加は認められなかった。