[東京 25日 ロイター] – 内閣府が25日公表した中長期の経済財政試算によると、2025年度の国・地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)は、成長率が徐々に高まるシナリオでも1.3兆円の赤字となる見通しだが、1月試算の1.5兆円から小幅に改善する。成長率は下振れるものの、税収増などが補う見込みだ。 7月25日、
中長期試算は年2回内閣府が公表しており、日本経済の実質成長率がゼロ%半ばの「ベースラインケース」と2%程度(名目3%程度)に高まる「成長実現ケース」の仮定を置いている。
ベースラインケースでは2032年度までPB赤字が継続するが、成長実現ケースでは26年度にPBは2.3兆円の黒字に転じ、32年度まで黒字が拡大すると試算。歳出効率化努力を継続すれば25年度のPB黒字化も視野に入るとしている。
岸田文雄首相は同日開催した経済財政諮問会議であいさつし、「25年度、そしてその先を見据え、成長効果の高い政策に予算・税制・規制制度改革の面から重点的に取り組み、持続的・安定的な成長を実現していく」と語った。
今年1月の試算と比べ、25年度は名目成長率の下振れにより歳入が1.4兆円下振れ、物価上昇率の上振れで歳出も0.2兆円膨らむが、税収が1.2兆円上振れ、効率化で歳出抑制を0.7兆円期待できるため、PBは改善できるとみている。
なお試算では、少子化対策の財源などは織り込んでいない。
また結果と試算と乖離するリスク要因として、世界経済の下振れや、金利上昇、景気対策による歳出拡大などを列挙している。
この日の諮問会議では、経済再生と財政健全化の両立を図ってくため、民間議員から中期的な経済財政の枠組みの策定に向けた議論を開始すべきとの提言があった。
岸田首相は、その議論を進めるにはこれまでの改革の進捗を点検・検証し、課題と成果を総括することが必要だと指摘。後藤茂之経済再生担当相に諮問会議に報告するよう指示した。
(竹本能文、杉山健太郎)