[東京 8日 ロイター] – 大手損保4社が保険料水準を事前に調整していた疑いがある問題を巡り、金融庁は4日に出した追加の報告徴求で、全営業店を対象に、業種を絞らず調査して報告するよう各社に求めている。

追加の報告徴求命令を受けたのは東京海上日動火災保険、三井住友海上火災保険、損害保険ジャパン、あいおいニッセイ同和損害保険の4社。報告徴求は通常1カ月程度が期限だが、幅広く報告を求めていることから、9月末までの2カ月を期限としている

大手4社に対しては、私鉄大手の東急グループ向けの火災保険の保険料を事前に調整した疑いがあるとして、金融庁が5―6月に報告徴求命令を出した。ただ、他にも不適切な価格調整の事案がある疑いが出てきたことから、今回、独禁法の趣旨に照らして不適切な事案があれば全て報告するよう求めた。独禁法に違反しない場合でも、金融庁は保険業法の下での法令順守体制や契約者保護の観点から適切かどうかみていくことになる。

鈴木俊一金融担当相は4日、「不適切な価格調整が行われていた可能性のある事案が幅広く存在する可能性が認められたことから、さらに網羅的で深度のある調査を実施することが必要だ」と指摘。問題が認められれば厳正に対処するとした。

損保大手4社は、複数の保険会社が共同で一つの保険契約を引き受ける「共同保険」で、事前に話し合い、価格を調整していたとの疑いが出ている。

これとは別に、中古車販売・買取会社のビッグモーターを巡る事案で、損保7社に対して7月31日に報告徴求命令を出している。

(清水律子)