昨日、イエレン財務長官が米経済の先行きに強い自信を示しているという記事を読んだ。今朝はFRBのパウエル議長が、強い経済と表裏をなしているインフレの先行きに、強い懸念を示した。世界経済が停滞するなかで米国は、ほぼ一人勝ちに近い状況になっている。迫り来る大統領選挙にとってこの状況はバイデン氏にとって極めて有利なのではないか、そんな気がしていた。ところが情勢はそんなに簡単ではないようだ。ロイターが配信した「焦点:バイデン氏再選に農村部の『壁』、有権者とずれる認識」(20日付)によると、農村部ではバイデン氏の支持率が下がっているというのだ。スイングステートと呼ばれる激戦州は、大統領選挙ごとに支持率が大きく変動する。これらの州で投票率を左右するのは農村部の票。莫大な財政資金(インフラ投資)を投入して支持拡大を狙う現職のバイデン氏にとっては、なんとも気になる情勢のようだ。
記事の書き出しはこうだ。「米農務省で北東部メーン州の地方開発担当部門を統括するリアノン・ハンプソン氏は、州内の田舎を車で毎週数百マイルも走る。新たに舗装された道路、架け替えられた橋をこれほど多く目にすることは、これまでなかった。州内の古い橋や老朽化した空港が、バイデン政権が打ち出した1兆ドル規模の『インフラ投資法』の対象となったのだ」。大統領選挙を意識していたことは間違いないだろう。バイデン氏はこれまで共和党の批判を押し切って果敢にインフレ投資を推進してきた。その対象は全国に及ぶが、これまで目の届かなかった農村部にもきめ細かに配分している。その結果をハンプソン氏は目にしている。「大統領選の結果を左右する激戦州では、農村居住者の有権者全体に占める割合がノースカロライナ、ジョージア、ウィスコンシンの各州でそれぞれ30%、ペンシルベニア州が22%ほどで、メーン州は61%ほどとなっている」。民主党政権の予算配分にも力が入るのは当然だ。
「農村部は長年にわたり軽視され、政府支出に対する懐疑的な見方が広がり、中絶や教育などの社会問題を巡る分裂も起きており、バイデン氏が苦しい戦いに直面している」。半面トランプ氏への農村部での支持率は2016年には59%、20年には65%に上昇。22年の中間選挙で共和党候補は農村部で69%の票を獲得した。なんのことはない、民主党の支持率は減り続けているのである。どうして?「農村部では多くの住民が、教育、銃規制、性自認などの問題で自分たちの考えを押し通そうとする都市部の『エリート』たちの動きに怒りを感じており、トランプ氏をはじめとする共和党候補はこうした反感をあおり立てた」というのだ。農村部の有権者が重視するのは「道路」でも「橋」でも「空港」でもない。安定した「生活」なのだ。にもかかわらず民主党は、特に左派を中心に、ポリコレを重視し、上から目線で政策を押し付けてくる。メーン州有権者の声、「トランプ氏への投票をためらいこそすれ、経済対策の面ではトランプ氏の方が優れている」。
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