• 中国恒大は取引所提出文書で説明、株式は通知あるまで取引停止
  • 会長は警察に連行され、「居住監視」に置かれていると関係者

中国の不動産開発大手、中国恒大集団の許家印会長に犯罪の疑いが持たれている。同社が発表した。

  中国恒大は28日、香港証券取引所に提出した文書で、許会長が「強制的な措置」の対象になっているとの通知を関連当局から受けたと報告した。強制的な措置の内容や、関与したとされる犯罪について具体的には説明していない。同社の株式はあらためて通知があるまで取引停止になるという。

  これに先立ち、許会長(64)は警察当局に今月連行され、指定された場所で監視されていると、非公開情報だとして匿名を要請した関係者が述べていた。

  許氏がいわゆる「居住監視」に置かれている理由は不明。この居住監視は正式な拘束、あるいは逮捕には及ばず、同氏が刑事訴追される見通しであることを意味するわけではない。

  だが、中国の刑事訴訟法によると、この措置では許可なく指定場所から離れたり、他人と会ったり、意思疎通を行ったりすることはできない。パスポートや身分証明書を警察に渡す必要があるが、居住監視の期間は6カ月を超えることができないとされている。

中国不動産開発大手また揺らぐ-習指導部の住宅危機封じ込めに逆風

Hui Ka Yan
中国恒大集団の許家印会長Photographer: Paul Yeung/Bloomberg

  ブルームバーグ・インテリジェンスが算出する中国不動産開発株の指数は28日に0.6%下落し、2011年以来の安値を更新した。

  今回の動きにより、中国恒大を巡る状況は刑事司法が絡む新たな局面に入ったことが示唆されている。同社を巡っては、ウェルスマネジメント子会社の一部従業員が今月拘束された。中国メディアの財新が先日報じたところでは、最高経営責任者(CEO)を務めていた夏海鈞氏と最高財務責任者(CFO)だった潘大栄氏も拘束された。

  自社の債務再編案を見直す必要があると突如発表したことで金融市場を揺るがし、清算リスクを高めた中国恒大の命運を巡る疑念はさらに強まることになる。

中国恒大、オフショア債再編案の条件見直しへ-債権者との会合中止

  ナティクシス・アジアのシニアエコノミスト、ゲーリー・ウン氏は「中国恒大が最終的に清算されると言うのは時期尚早だが、そうしたリスクは明らかに高まりつつある」と指摘。「政府にとって、中国では大き過ぎてつぶせない開発会社は一つもないということを示すことになる」と話す。

  ウン氏は「中国恒大が規制要件を満たせば、新たな再編計画の策定はまだ可能だが、プロセスはこれまでよりも長くなる恐れがある。さらに悪い条件となった場合に、債権者側がそれを受け入れるかどうかも不透明だ」と述べた。

  許氏個人にとっても今回の展開は新たな打撃だ。同氏はかつて政治との太いパイプを持つ実業家の一人と考えられていたが、習近平指導部が不動産セクターの過剰な借り入れや投機に対する締め付けを強め、一転してこうした取り組みの主要な犠牲者になった。

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原題:Evergrande Says Billionaire Founder Is Suspected of Crimes(抜粋)