[東京 27日 ロイター] – 日銀が18―19日に開いた金融政策決定会合では、2%物価目標の実現の確度がさらに高まってきているとして「金融正常化のタイミングは近づいている」とする意見が出る半面で、早期の政策修正に慎重な意見が複数出るなど、政策修正のタイミングを巡ってメンバー間で意見の隔たりがあることが明らかになった。
日銀が27日、決定会合の「主な意見」を公表した。
植田和男総裁が7日の参院財政金融委員会で「年末から来年にかけ、一段とチャレンジングになる」と発言し、市場では早期のマイナス金利解除観測が浮上したが、12月の決定会合では金融政策の現状維持を全員一致で決めた もっと見る 。植田総裁は会合後の記者会見で、マイナス金利解除の時期を明言しなかった もっと見る 。
決定会合では、ある委員が「これまで賃金上昇率が物価上昇率に追いついてこなかったことを考えると、来春の賃上げが予想よりかなり上振れたとしても、基調的な物価上昇率が2%を大きく上回ってしまうリスクは小さい」と指摘。「現在、慌てて利上げしないと、ビハインド・ ザ・カーブになってしまう状況にはなく、少なくとも来春の賃金交渉の動向を見てから判断しても遅くはない」と発言した。
10月のイールドカーブ・コントロール(YCC)の柔軟化でイールドカーブが歪む状況が生じにくくなっているとして「インフレの基調が過度に強まる状況にならない限り、賃金と物価の好循環を通じた2%目標の実現の見極めは十分な余裕を持って行うことができる」との意見も出された。
人手不足に端を発し、経済構造の変化の芽が生まれる中、「千載一遇のチャンスを逃がさぬよう変革の後押しに集中し、当面は現状の金融緩和継続が適当だ」との指摘もあった。
一方で、金融正常化のタイミングが近づいていると述べた委員は、「拙速は良くないが、『巧遅は拙速に如かず』という言葉もある」と発言。物価高が消費の基調を壊し、物価目標実現を損なうリスクを避けるためにも「タイミングを逃さず金融正常化を図るべきだ」と主張した。
(和田崇彦)