和田崇彦

全国コアCPI、12月は前年比+2.3% 22年6月以来の低い伸び率

[東京 19日 ロイター] – 総務省が19日に発表した2023年12月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除く、コアCPI)は106.4と、前年同月比2.3%上昇した。前月の伸び率2.5%を下回り、22年6月以来の低い伸び率となった。エネルギー価格の下落幅が拡大したほか、前年に大きく伸びた生鮮食品を除く食料の伸び率が一段と縮小した。

専門家からは、食料で原材料価格上昇の転嫁の影響が剥落する中、24年はコアCPIの伸び率が緩やかに減速するとの声が出ている。

<生鮮除く食料、2年ぶりに前月比マイナス>

コアCPIはロイターがまとめた民間予測2.3%上昇に一致した。

エネルギー価格は11.6%下落し、前月の10.1%下落から下落率が拡大した。電気代は20.5%下落、都市ガス代は20.6%下落でともに前月より下落率が大きくなった。電気代は石炭価格の下落傾向が押し下げ要因。都市ガス代は1971年1月以降で最大の下落率となった。政府の電気・ガス価格激変緩和対策により、総合指数を0.49%ポイント押し下げた。

生鮮食品を除く食料は6.2%上昇で、前月の伸び率6.7%を下回った。原材料高を転嫁する動きが沈静化し、前月比では0.1%下落と21年12月以来のマイナスとなった。

宿泊料は59.0%上昇で、前月の62.9%上昇を下回った。22年の年末から23年の年始にかけて政府の全国旅行支援が一時的に適用除外となり、宿泊料が高めだったことの反動で伸びが鈍化した。

コア対象522品目のうち、上昇は421品目、下落は61品目、変わらずは40品目。

<24年のコアCPI、緩やかな減速か>

23年平均のコアCPIは前年比3.1%上昇となり、82年以来の高い伸び率となった。

24年のコアCPIの伸び率について、UBS証券の栗原剛・次席エコノミストは、緩やかに減速を続け、24年12月には1.8%まで伸び率が縮小していくとみている。ただ、しっかりした生鮮食品およびエネルギーを除く総合指数(コアコアCPI)とエネルギー補助金のベース効果で、減速は「これまでよりもだいぶゆっくりのペースになる」と予想する。

12月のコアコアCPIは3.7%上昇と、伸び率は前月の3.8%を小幅に下回った。コアコア指数の23年平均は前年比4.0%上昇で、81年以来の高い伸びとなった。12月の総合指数も2.6%上昇で、前月の2.8%上昇を下回った。

<財・サービス、上昇率の逆転視野に>

財・サービス別では、財価格が2.8%上昇と前月の3.3%上昇を大きく下回る一方、サービス価格は2.3%で前月から伸び率が変わらず、上昇率の差が縮まった。UBS証券の栗原氏は、食品主導のインフレの減速が継続することで「(財とサービスの伸び率)逆転も段々と視野に入ってきた」と指摘した。

日銀は物価について、上昇の要因が原材料高から賃上げにバトンタッチする姿を想定している。今後、人件費上昇分の転嫁がさらに進むのかが焦点になる。

栗原氏は、今年の春闘も強い賃上げになることで「企業側も一時的な賃金の引き上げではないと認識し、労働コストの販売価格への転嫁がより普及し、広く理解されていくのではないか」とみている。消費者側も、持続的な賃上げで値上げへの耐性がついてくるのではないかと予想している。

(和田崇彦)