米国といえば誰もがすぐ思い浮かべるのが“アメリカン・ドリーム”だ。一発当てれば頂点に君臨し、大金持ちになれる。思想、信条、宗教、人種によって差別されることはない。国内外の若者がアメリカン・ドリームを夢みる。どんな苦労もいとわない。努力の先にアメリカン・ドリームがぶら下がっているのだ。大谷翔平はそんな夢見る少年だったのかもしれない。そのアメリカン・ドリームが消えようとしている。ブルームバーグ(BB)が今朝、米国が直面している住宅危機をリポートしている。タイトルは「消えるアメリカン・ドリーム、住宅ローン金利の高止まりで持ち家断念」とある。金利の高止まりで「手頃な価格で持ち家を手に入れるというアメリカン・ドリームは実現不可能となりつつある」という。11月の大統領選挙を左右するのはウクライナでもガザでも移民問題でもない。消えつつあるアメリカン・ドリームかもしれない。
BBによると「米国の住宅ローン金利は過去1カ月超にわたって7%前後で推移しており、3年前の2倍余りの水準が続く。昨年末にかけてのインフレ減速で多くの人が金利低下を期待していたが、今年に入って物価の伸びは再び加速傾向にあり、米金融当局は政策金利を20年来の高水準で据え置いている」。思うように低下しないインフレ、米国の庶民も苛立ち始めているということだろう。この記事のどこにも大統領選挙への影響は出てこない。物価も上がるがそれを補填するように賃金も上がる。マクロ経済でみれば米国経済は他国に比べ堅調そのものに見える。物価が上がっても賃金がそれを上回って上がれば消費は衰えることはない。米国流の物価と賃金の好循環である。そんな全体状況の中に落とし穴があるというのがこの記事だ。賃金格差も資産格差も広がる一方、一般庶民にとってアメリカン・ドリームの象徴であるマイホームに手が届かなくなっているのだ。これは一種の“経済破綻”かもしれない。
そういえば、同じような状況があの国にもある。世界第2位の経済大国・中国だ。中国の不動産不況はいまや手がつけられないほど深刻になっている。恒大集団をはじめ不動産会社の破綻が相次いでいるだけではない。個人がマイホームを買えないと同時に、売れなくなっているのだ。莫大なローンを組んでマイホームを取得した市民の多くがいま、住宅ローンの返済ができなくなっている。住宅を手放したくても政府が決めた価格以下での売却は禁じられている。政府が決めた価格以上で売りに出しても、今度は買い手が全くつかない。地方政府に買い手の役割を義務付けたが、逆ざやで地方政府の財政は悪化する一方。習近平国家主席の“威信”は不動産不況の泥沼でなんの威力もない。庶民の夢・マイホームに見放された権力者の先行きは何処や。はてさてなんの因果か、東京都心のマンションは1億円を超えてきた。聞いただけで“目ん玉”が飛び出しそうだ。主要メディアに守られているとはいえ、小池都知事、次の知事選大丈夫か・・・
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