昨日配信されたブルームバーグ(B B)の記事が面白かった。タイトルは「際立つエヌビディアの利子収入、金が金を生むー米企業に高金利の恩恵」とある。インフレの進展を止めるべくパウエルF R B議長は昨年来、政策金利を連続して引き上げてきた。現在の金利水準は5.25%〜5.50%。日本の0.0%〜1.0%に比べかなり高い。政策金利を上げれば必然的に預金金利も上がる。世界に君臨する半導体メーカーのエヌビディアはこの恩恵を受けているという記事だ。B BによるとS&P500種を構成している米国の非金融企業うち、約1割は利子収入が利払い上回っているという。中でもグラフィック用の半導体を作っているエヌビディアは売り上げが急成長しているだけではない。巨大な利益を生み出すと同時に、預貯金を筆頭に金融資産が急拡大しているのだ。

B Bの調査によると「非金融企業のうち、約1割が債務コストを上回る利子収入を1-3月(第1四半期)に計上した」という。「アルファベットやテスラ、ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)を含む企業が得た利子収入は(前期に比べ)約60%増加した」とある。中でもグラフィック半導体で世界を牽引するエヌビディアは「1-3月の利子収入は前年同期からおよそ倍増となる3億5900万ドル(約560億円)と、6400 万ドルの金利負担を補って余りあった」というからすごい。これだけで驚いてはいけない。「配当金9800万ドルもこれで(利子収入)手当てしており、S&P500種構成銘柄の中で唯一、1-3月に利子で配当金を賄うことができた企業となった」。経営者も株主も笑いが止まらないのでないか。過熱気味の景気をなんとか抑制しようと政策金利を上げ続けてきたパウエルF R B議長の渋面が、思わず頭の片隅をよぎった。

エヌビディアは例外中の例外かもしれない。それでも、BBの調査によるとS&P500種採用企業の「約1割」が利払費よりも利子収入が上回っているというから、金利が上がって喜んでいる企業はかなりいるだろう。「(企業全体でみると)利子収入は前年同期から約60%増の69億ドルに達した。一方、利払いは5%増の28億4000万ドルにとどまった」(B B)といから、米国企業の体質が金利上昇に強くなっていると見ていいだろう。これはほんの一例に過ぎない。とはいえ、「借金して投資する」というのがこれまでの企業の一般的なイメージだが、コロナ禍をへて投資の原資は借金でなく自己資金に変わってきている。日本だって大企業中心に大企業の内部留保は激増している。政府並びに金融当局はこうした実態をどう考えるのだろうか。個人的な印象論にすぎないが日本でも、政策金利を上げれば経済の好循環が円滑に進むのではないか、そんな気がする。

ムームーサーバー