今朝ニュースを見ながら中東情勢は危機が深刻化しつつあるのではないか、そんな印象を受けた。一つはドイツ外相のベーア・ボック氏の発言。氏は安全保障関連会合で以下のように述べている。「意図しないエスカレーションと全面戦争のリスクは日を追うごとに高まっている」(ロイター)とし、「われわれはパートナーと共に、解決策を探るべく懸命に取り組んでいる」(同)と述べた。具体的にはベイルート南部に拠点を置くヒズボラとイスラエルの対立の激化。中東を訪問中の同外相は、25日にベイルートに向かうという。これには伏線がある。イスラエルのネタニアフ首相は前日、「ガザでの激しい戦闘が終われば、親イラン武装組織ヒズボラとの戦闘が激化しているレバノンとの北部国境沿いにさらに部隊を展開できるようになる」と述べたているのだ。要はハマスとの戦争に勝利すれば、「次はヒズボラだ」と言っているわけだ。

これに先立ってヒズボラの指導者であるナスララ師は19日のテレビ演説で、イスラエルとの戦闘が激化すれば「戦闘員がイスラエル北部ガリラヤ地方に侵攻する選択肢もある」と述べている。そして24日、イスラエル軍のヘルジ・ハレビ参謀総長は次のように発言した。「ガザ最南部ラファのハマス旅団がほぼ壊滅したと言える段階に近づいている。テロリストがいなくなったという意味ではないが、同旅団はもはや戦闘部隊として機能できないという意味で敗北した」(ロイター)と述べた。これを受けてネタニヤフ首相は「次はヒズボラだ」と言ったわけだ。イスラエル北部での戦線拡大を阻止すべく、ボック外相は「パートナーと懸命に取り組んでいる」と説明している。戦闘が拡大するか調停が成立するか、現時点でははっきりしない。イスラエルもヒズボラも、相手を牽制しつつ一歩も引かない状況に立ち至っているということだろう。

ウクライナでも同様の危機が増幅しつつある。西側提供兵器でのロシア領内への攻撃が始まったことを受けてプーチンは、戦略核兵器の使用に関する「軍事ドクトリン」の見直しに着手している。戦略核に関する使用制限を緩和して、中小型核兵器を使いやすくする狙いだ。本当に戦略核を使用する“覚悟”があるかどうかわからない。だが、ドクトリンの見直しによって「恐怖」を増幅しようとしていることは間違いない。ヒズボラとイスラエルの緊張緩和に向けて西側陣営は、水面下で努力している。だた、プーチンによる核の恐怖増幅に向けて水面下でどんな動きがあるか、主要メディアのニュースを見ているだけではわからない。ロシア領内への攻撃を容認することによって、ウクライナ戦争は危機のレベルがワンランクアップされた。「恐怖の抑止力」に頼る以上、これは当然の動きとも言える。危機が戦略核に増幅された時、西側はどう対応するのだろうか・・・

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