バイデン氏の大統領選撤退表明を受け、民主党の次期大統領候補に副大統領のカマラ・ハリス氏が急浮上している。一部民主党の重鎮が依然として態度表明を明らかにしていないが、民主党大会まで残り1カ月。ハリス副大統領の大統領候補選出は既定事実と見てよさそうだ。それにつけても副大統領はどういう人なのか、意外に知られていない。NHKによるとカマラ・ハリス氏は「西部カリフォルニア州出身の59歳。父親はジャマイカ出身、母親はインド出身で移民の2世として生まれ育ちました。カリフォルニア州の司法長官を務めたあと、2017年に上院議員となり、2020年の大統領選挙で議員1期目ながら民主党の候補者指名争いに挑戦した」とある。上院議員を務めたあと大統領選に挑戦、その後バイデン氏の指名で副大統領に就任した。政治家としての経験は決して多くはない。
バイデン氏の大統領選撤退に関連して次のように語っている。「わたしは、アメリカ国民を代表し、バイデン氏の大統領としての並外れた指導力と、数十年にわたるわれわれの国に対する貢献に感謝する。バイデン氏が成し遂げた偉大な功績はアメリカの現代史において比類のないもので、2期を務めた、ほかの多くの大統領の功績をしのぐものだ」(NHK)と。上司である大統領の撤退表明である。副大統領としてバイデン氏の功績を称えるのは当然だろう。まして後継候補に指名してもらっている。ベタ褒めに近い賛辞を送るのは自然の成り行きでもある。だが、この一文を読みながらアフガニスタンからの軍撤退の惨めさ、プーチンによるウクライナ侵略、ガザ戦争という2つの戦争は依然として続いている。国際協調路線の結果がこれなのか、ハリス副大統領の圧倒的な賞賛の方に違和感を感じてしまう。ハリス氏だけではない。民主党は米国をどこに導こうとしているのか、先行きの不透明感がこの党には付き纏っている。
バイデン氏が撤退しハリス副大統領へ支持が集まるという状況の中で、米国に対抗する中国は沈黙を守っている。ブルームバーグによると政府系メディアの「環境時報」は、ハリス氏のホワイトハウスでの実績を「凡庸」と評価する専門家の話を引用していると報じた。環境時報は習近平政権と一体のメディアである。ここでいう「凡庸」の一言は、公式ではないにしてもそれに近い習政権の見立てと見て間違いないだろう。中国はハリス氏なら組みやすいと見ている。中国の大敵・トランプ氏は「バイデンよりも倒しやすい」と豪語している。不倶戴天の敵も時に評価が一致する。これから始まる副大統領候補選び、ひょっとすると大統領候補よりも実力のある副大統領候補が指名されるのではないか。そんな“弱そうな”ハリス氏に米国の主要メディアはこぞって「トランプを倒せる」と鬨を送っている。日本と同様に米国の主要メディアも不可解だ。
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