7月の中旬以降、庶民の敵ともいうべき円安に歯止めがかかったかと思いきや、円高恐怖症ともいうべき波乱が日本中を覆っている。なんということはない、長く続いた円安に慣れ親しんだがゆえに、住み慣れた円安の反転に度肝を抜かれたのである。円相場は7月11日、12日に財務省が行ったとみられる為替介入を機に反転した。いま現在(11時過ぎ)1ドル=152円台となっている。一時は162円台をつけていたことを思えば、短期間に10円近い急激な円高である。まるで昨今の異常気象並みだ。ゲリラ的円高と言っていいだろう。個人的にはかねてより金利のある政界に早急に移行し、円高経済を定着させるべきだと主張してきた。その通りになりそうな機運がではじめた途端に株式市場は急落し、債券市場では流通利回りが急上昇している。30日、31日には日銀の金融政策決定会合が開かれる。植田日銀総裁は利上げを躊躇しているとの見方も・・・。

だが一方で、円高論も増えてきた。河野太郎デジタル担当相は17日、ブルームバーグとのインタビューで「円の価値を高め、エネルギーや食料品のコストを引き下げるために政策金利を引き上げるよう日銀に求めた」と伝えられた。当人は「いま、日銀に利上げを直接求めているわけではない」と釈明したが、現役閣僚の発言はそれなりに重い。22日には今度は自民党の茂木幹事長が都内で講演し、「段階的な利上げの検討も含め、正常化する方向で着実に進める方針をもっと明確に打ち出すことが必要だ」と述べた。影が薄い幹事長の発言としては久しぶりに意味のある“重い”発言だ。2人とも9月に予定されている総裁選に意欲を示していると言われ、政局的な思惑が裏にあるとみられる。が、円高の必要性に触れた発言としてはそれなりに意味を持っている。だからというわけではないが、2人の発言が円高をちょっとだけ刺激したことは間違いないだろう。

月末の金融政策決定会合を前に自民党内が揺れているとローターが伝えている。要するに月末の会合で政策金利を引き上げるべきだとする正常化論と、消費が低迷しており現状の景気を考えれば利上げはすべきでないとの説にわれているというのだ。今更いうまでもないが利上げ回避論は異次元緩和と同質の目先筋の主張。中長期的な日本経済論に立てば、ここで利上げを回避することは物価の高騰を無視して異次元緩和を強行した黒田路線の二の舞にすぎない。世界最大の資産運用会社であるブラクロックは、「日本経済の復活とインフレの回復により日本の株式市場はわれわれの最も強い確信の一つ」と強調する。日本人は円高の先行きに懸念を示すが、世界の見方は逆だ。今こそ日銀は毅然と政策金利の引き上げに踏み切るべきだろう。いやしくも政府・自民党の一部の懐疑論に組みすべきではない。日銀に独立性はあるかないか、そこが問われている。

販売手数料0円!毎月定額のネットショップ作成サービス『Xserverショップ』