内閣府は29日、経済財政諮問会議に来年度(25年度)に基礎的財政収支(プライマリーバランス=P B)が黒字化するとの試算を提出した。黒字額は8000億円。前提となる数値が甘めであること、補正予算を組めばあっという間に赤字に転落する規模であることなど、P Bの黒字化試算がこの通りに実現する見通しはほとんどない。とはいえ、黒字化が展望できる段階まで日本の財政状況が改善していることも事実だ。実現が先になったとしても、財政に一筋の明るさが見えてきた。朝日新聞によると要因は「企業の好業績などで税収が増え、収支が改善する」ことだという。企業業績改善の背景は円安だ。円安に伴う税収増がP B黒字化に大きく貢献している。

このまま円安を続ければP Bは確実に黒字化するだろう。だが、それでいいのか。円安は国民生活の窮乏化を招く。円安で税収は増える。半面、国民は消費税負担が増加し、生活を切り詰めざるを得なくなる。要するに円安を背景としたP Bの黒字化は国民の犠牲の上に成り立っているのだ。内閣府がまとめた試算は、経済の成長率や生産性の上昇率などいくつかの経済指標を前提にした試算である。誤解を恐れずに要約すれば供給サイドに焦点を当てて試算しているというのが実態だ。国民生活の改善度に焦点を当てて試算すれば、結果はまったく違ったものになる。おそらく現状のままだと赤字は拡大するだろう。そういう試算があるかないかしらないが、財政赤字の拡大は国民生活の改善につながる。どちらがいいのか。もちろん後者に決まっている。

では財政赤字を無視すればいいではないか。個人的には悪魔の誘惑にかられる。だが、無制限に赤字を拡大すればハイパーインフレに見舞われる恐れがある。それは避けなければならない。そのためはどうすればいいのだ。答えは簡単ではない。だが、ど素人の“糞力”。内閣府の試算を逆手に取ればいい。「円安の税収増」でP Bは黒字化する。肝心なのは税収増だ。税収が増えれば財政再建が可能になる。どうやって実現する。簡単だ。「円高で税収増」の経済構造に転換すればいい。だが、「言うは易く行うは難し」。円安だと惰眠を貪る経営者でも業績は改善する。円高だとそうはいかない。ゾンビ企業は間違いなく潰れる。企業が相当頑張らないと税収は増えない。結局は円高という逆風の中で日本中が知恵と体力で勝負するしかない。そして、そんな未来を想定する指導者が間違いなく必要になる。

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