自民党は20日の選挙管理委員会で、9月に実施される総裁選の日程を正式に決める。これに先立って先週(14日)、岸田総理が総裁選への出馬を見送ると発表した。突然の発表であり、不出馬の理由ははっきりしない。理由はともあれ立候補取り止めは当然だろう。自民党内ではこれを機に立候補を模索する動きが活発化、すでに10人前後の立候補が取り沙汰されている。裏金疑惑で信頼を失った自民党だが、総裁選が信頼回復のきっかけになるかもしれない。総裁選から総選挙に向け、古色蒼然とした党の体質を変革できれば、総選挙での勝利も不可能ではない。それを占うキーワードはただ一つ「刷新感」だ。自民党が正しく刷新感を演出できれば、野党も対抗できないだろう。あまたいる候補者の中でこの条件をクリアーできるのはただ1人。前経済安全保障担当大臣の小林鷹之(こばやし・たかゆき)氏だ。同氏が新総裁になる以外に、自民党が総選挙で勝利する可能性はない。
岸田退任を待っていたかのように有力者が次々と総裁選に名乗りを挙げている。20人の推薦人を集められる候補者が果たして何人いるか、これが当面の焦点。今週中に総裁選の日程が決まるが、党内ではすでに激烈な推薦人集めが始まっている。推薦人を集めても刷新感のない人はダメだ。必要な条件はただ一つ。脱派閥だ。とはいえ、岸田総理の派閥解消は単なる見せかけで、派閥は厳然として残っている。総裁選ともなればその派閥がしゃしゃり出てくる。いつもの自民党の風景だ。そんな現実を勘案すれば脱派閥は無理でも、最低限必要なことは派閥横断型で推薦人を集めることだ。これが実質的な派閥解消でもある。そんな観点から見れば上川外相、河野デジタル担当相は新総裁に相応しくない。なんとなれば2人とも派閥の会長に立候補の了解を得ている。河野氏は依然として派閥に留まっている。こういう人は刷新感が必要な時代の流れに乗れない。
石破氏には刷新感がある。一度はやらせてみたいと思う人も多い。国民的な人気と党内の不人気のギャップをどうやって埋めるか。野田氏は推薦人の確保が難しそうだ。石破氏との連携説もあるがどうなるか。加藤、斉藤(健)両氏には多少の刷新感はあるが、新しい流れを作り出すという点では力不足。林、茂木の両氏は論外。問題は小泉(進次郎)氏と高市氏。小泉氏には刷新感はあるが、総裁としての力量に不安が付きまとう。菅氏の意中の人と見られていることや、森元総理が支持しているとの噂もある。この人には古臭い自民党長老の影がつきまとう。高市氏には可能性がある。推薦人次第か。同じ保守系の小林氏との連携の道も。こうしてみると、刷新感が一番ある人材は小林氏だ。派閥横断的に党内若手の支持を集め、すでに推薦人20人は確保したと伝えられている。経験不足と知名度の低さが玉に瑕だが、若手のホープが時代の流れに押されてリーダーに駆け上がる、特に違和感はない。49歳という若さも魅力だ。老害が目立つ党内実力者が反対しているようだが、逆にそれが推進力にもなる。
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