今朝目についたニュース、「中国のデフレスパイラル、危険な新局面入り-早期の措置が必要にも」。ブルームバーグ(Bb)の記事で、送信時間は2024年9月10日 1:32 とある。リードには次の通り。「中国で続くデフレ圧力が、ここへきて負のスパイラルに陥りつつある。世界2位の経済規模を持つ同国の景気見通し悪化につながりかねず、早期の政策対応を求める声が高まっている」。中国の経済不振はいまに始まったことではない。デフレ懸念はだいぶ前からメディアや経済専門家の間で喧伝されていた。そんな流れの一環でこの記事に特に目新しさはないのだが、同じ日にロイターは「日本投資のヘッジファンド立ち上げ活発化」(9月10日午前 8:35)という記事を配信している。元祖デフレ国家・日本が30年の失われた時を経て、ようやくデフレ脱却の出口に近づいている反面、中国はいまその入り口に立っている。アジアを代表する経済大国の明暗に、時の流れのイタズラめいたものを感じる。

Bbが指摘する中国のデフレスパイラルは次のような経過をたどっている。「家計の賃金減少が支出削減を招く。あるいは価格がさらに下がることを見越して、消費者が購入時期を先送りする。企業の売り上げが減少し、それが投資抑制と一段の給与削減やレイオフを引き起こす。家計や企業の破産が起きる」。日本人にとってはちょっと前に経したことである。理解しやすい。中国は思い切った手を打たないとこの先、かつての日本のような「失われた30年」を経験することになる。財新智庫とBBD(数聯銘品)の調査によると、「EV製造や再生可能エネルギーといったセクターで、8月には新入社員の給与が2022年のピーク時に比べて約10%減少した」という。すでにスパイラルは始まっている気がする。デフレの恐ろしいところは悪循環がとめどなく続くことだ。中国は日本のデフレを真剣に研究していると言われる。その中国が同じ轍を踏み始めている。わかっていても引き摺り込まれる。これがデフレの本当の恐ろしさでもある。

ロイターによると「中国株の低迷を背景に、アジアでは昨年以降ヘッジファンドの清算数が設立数を上回り続けている。しかし、日本投資専門のヘッジファンドはこの間に10本の純増となった」と指摘する。その理由について「長らく重視されてこなかった日本市場を有望視する見方が広がっていることがうかがえる」と分析する。日本再評価の原因は何か。「日本がついに物価上昇と賃金の伸びを伴って前向きの方向に変化してきている」ことが要因と強調する。ゼロ金利を終わらせ「金利のある世界」への転換を目指す植田日銀の政策転換が、国際的に評価されているのかもしれない。日本については依然として不安は残る。だが、中国のデフレ化は避けられないのではないか。デフレはデフレを呼び込む。インフレがインフレを加速させるのと同じだ。だが、デフレスパイラルの防止、これはインフレ抑制よりもはるかに難しい。