首相指名選挙がおこなわれた昨日(11日)起こった3つのこと、一つは国民民主党の玉木代表の不倫報道。2つ目がこの事実を報道したメディアの魂胆。3つ目は小数連立政権(第2次石破政権)が発足したことだ。この3つの出来事に因果関係があるわけではない。先の総選挙で予想を上回って圧勝した玉木氏はいまや、日本の政治を変える可能性のある人物だ。その玉木氏の不倫騒動である。玉木氏は謝罪会見で奥さんから「『こんな大事な時期になにやってんだ』と強く叱責を受けました」と告白した。その通りだ。「なにやってんだ」、期待感が強かっただけに奥様の怒りを繰り返したくなる。謝罪会見で自分の弱さを認めた玉木氏。強さと弱さが同居する政治家。秀吉も家康も女性に甘えながら権力と同居していた。だが、時代が違うのだ、玉木氏よ。脇が甘すぎる。公約実現以外に政治家としての信頼を回復する道は無くなった。

玉木氏の不倫を報じた「Smart FLASH」に問いたい。どうして11日にこのスクープを公開したのか。この雑誌は光文社が発行するいわゆるビジュアル週刊誌だ。発売日は毎週火曜日。昨日の早朝公になったのはWeb版だろう。これを受けて玉木氏は午前中に謝罪会見を行なっている。記事には10月30日に玉木氏が都内のホテルで女性と密会していた写真が添えられていた。当該女性のインタビューも掲載されている。総選挙から3日目、キャスティングボードを握った玉木氏はすでに時の人になっていた。週刊誌の編集体制を持ってすれば、早ければ5日にも掲載可能だったはずだ。それを1週間ずらしてあえて特別国会開催日にぶつけた。スクープの衝撃を最大にするために、掲載日をずらした週刊誌の魂胆はよくわかる。だがそれは同時に国民に目を背け続けた小数与党を利することになる。FLASH編集部に掲載日をめぐり葛藤はなかったのか、聞きたいところだ。

総裁に就任したあと数々の手のひら返しと旧態依然とした政治手法(2000万円の配布問題)を黙認した石破氏が、第103代首相に選出された。議席数で与党を上回る野党が首相候補を一本化できなかった結果だが、なんとも奇妙な政治状況が実現した。総選挙で議席数を減らした公明党は現職が落選し代表が交代した。維新も馬場代表の退任が決まっている。総選挙の勝敗について「自公で過半数」と公言していた石破氏だけが、公約を大幅に下回った結果にもかかわらず首相に就任している。なんとも奇妙な事態だ。これに玉木不倫が絡んでくる。個人的な印象だが玉木氏並びに国民民主党は譲歩しづらくなった。もちろん政策判断と不倫騒動は無関係だ。状況は103万円の壁撤廃を苦々しく思っている影の権力者、財務省に有利に働きそうな気がする。そんなことを国民が許さない気もするのだが、果たしてどうだろうか。